ゴールデンパラシュートとは、敵対的買収から企業を防衛する施策のひとつです。
今回はゴールデンパラシュートの具体的な事例や施策を分かりやすく解説します。
特に将来性がある株式会社は、敵対的買収の標的になりやすい傾向にあるため、防衛策についての正しい知識を身につけておくことが大切です。
ご興味のある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
- ゴールデンパラシュートとは、あらかじめ経営陣の退職金を高額に設定しておく方法
- 相手企業に買収を思い留まらせる効果が期待できる
- ゴールデンパラシュートは経営陣にとってのメリットが大きい
- ゴールデンパラシュートを行うためには、株主総会による承認が必要
ゴールデンパラシュートとは?
ゴールデンパラシュートとは、あらかじめ経営陣の退職金を高額に設定しておく方法です。通常、ゴールデンパラシュートで設定される退職金の額は、経営陣の給料の3倍程度であるといわれています。
敵対的買収が行われた場合、企業の取締役や役員は解任・退任に追い込まれることがほとんどです。ゴールデンパラシュートを行うことで、敵対的買収者の買収後の出費が多くなるようにし、相手企業に買収を思い留まらせる効果が期待できます。
ゴールデンパラシュートを直訳すると「金の落下傘」。敵対的買収から脱出する手段としてお金を落下傘に見立てたことから、ゴールデンパラシュートと呼ばれています。
ゴールデンパラシュートは日本ではあまり馴染みのない方法です。しかし、アメリカでは主流な買収防衛策として機能しています。2011年以降、日本ではM&A(合併や買収)の件数が増加しているため、今後、敵対的買収も増加する可能性があります。敵対的買収の増加に合わせて、経営陣にとってのメリットが大きいゴールデンパラシュートは、国内企業が将来的に増えることも考えられるでしょう。
類似の買収防衛策として、ティンパラシュートと呼ばれる方法があります。買収後に、従業員が人員整理されることを見越して、従業員の退職金を高額に設定しておくことで、買収を予防する効果が期待できます。
他の敵対的買収の防衛策についても知りたい方はこちらもご覧ください。
ゴールデンパラシュートとメリットとデメリット
ゴールデンパラシュートのメリットとデメリットをご紹介します。
ゴールデンパラシュートのメリット
ゴールデンパラシュートには次のようなメリットがあります。
コストを抑えた敵対的買収の防止
ゴールデンパラシュートを行うために、多額の資金は必要ありません。コストを大きく抑えられるゴールデンパラシュートは、資金に余裕がない企業でも行えます。
経営陣への安心材料
ゴールデンパラシュートは敵対的買収を防ぐ目的で行われますが、買収が成立した場合でも経営陣は多額の退職金を受け取れます。会社が乗っ取られる時に将来への不安を抱える経営陣にとっては、失業保険のような役割を果たすため、安心材料になるはずです。
ゴールデンパラシュートのデメリット
魅力的なメリットを持つゴールデンパラシュートですが、実は日本での使用例は少ないのが現状です。理由として、ゴールデンパラシュートには次のようなデメリットがあります。
株主や従業員からの反発
ゴールデンパラシュートは経営陣のメリットは大きいですが、株主や従業員へのメリットは少ない方法です。ゴールデンパラシュートでは経営陣のみの退職金を引き上げるため、株主や従業員から自己保身策と捉えられる場合があります。ゴールデンパラシュートは、株主総会による承認が必要となるため、多くの株主に反対された場合は行えません。
ゴールデンパラシュートの事例
ゴールデンパラシュートが実際に行われた事例をご紹介します。
RJRナビスコによるゴールデンパラシュート
アメリカで食品・タバコ産業を営んでいたRJRナビスコによるゴールデンパラシュートが有名です。1989年、投資会社KKRによってRJRナビスコの敵対的買収が行われました。RJRナビスコは、ゴールデンパラシュートを設定していたため、当時のCEOであったロス・ジョンソン氏には5,800万ドルの退職金が支払われました。
おわりに:敵対的買収の最適な回避策をお探しの方は専門家サポートも検討を
敵対的買収の防衛策の1つであるゴールデンパラシュートについて解説しました。
- ゴールデンパラシュートとは、あらかじめ経営陣の退職金を高額に設定しておく方法
- 相手企業に買収を思い留まらせる効果が期待できる
- ゴールデンパラシュートは経営陣にとってのメリットが大きい
- ゴールデンパラシュートを行うためには、株主総会による承認が必要
将来性がある株式会社は、敵対的買収の標的になりやすい傾向にあるため、M&Aや敵対的買収の防衛策について正しい知識を身につけておくことが大切です。
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という方は、一度専門家からアドバイスを受ける事もおすすめです。
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