取引先が経営破綻‼ 売掛金、貸付金などが回収不能となった場合の貸倒損失の計上のルール ~札幌大通駅直結の税理士事務所がお伝えします

新型コロナウイルス感染症の影響があり、業績が悪化している企業も多く、今後経営破綻する企業が増加することが予想されます。取引先が経営破綻した場合に回収不能となる売掛金などの債権の貸倒損失の計上ルールを確認します。

 

 

貸倒損失の認識基準

税務上、貸倒損失の適用ができるのは次の場合です。

1.債権が切り捨てられた場合(法的な債権の消滅)

①法律による決定があった場合
・会社更生法等の規定による更生計画に対する認可が決定された債権
・民事再生法の規定による再生計画に対する認可が決定された債権
・会社法の規定による特別清算についての協定が認可された債権

②関係者の協議などにより切り捨てが行われる債権
・債権者集会の協議決定で合理的な基準によって切り捨てられた債権
・金融機関等のあっせんによる協議で合理的な基準によって切り捨てられた債権

③書面により債務免除額を明らかにした債権
債務者の債務超過が相当期間継続(一般的には3年から5年程度)し、債務の弁済を受けることができないことが明らかである債権

法律上の手続き等を前提とする事実関係により、債権の切り捨ての決定による上記の債権の貸倒については、法人の損金経理を問わず強制的に損金の額に算入されます。

計上額は①、②は切り捨てられた債権の額、③は書面による債務免除額となります。

 

2.債権の全部が回収不能となった場合

債務者の資産の状況・支払能力等からみて全額回収不能が明らかである場合。(全額回収不能が明らかな場合とは、例えば債務者について破産、強制執行、整理、死亡、行方不明等の事実が発生したことが挙げられます。)

※担保物がある場合には適用ができませんので注意が必要です。(まずは処分が必要です。)

 

貸倒損失として計上できる金額は損金経理した金額の全額です。

 

3.一定期間の取引停止後に弁済がない場合

①債務者との継続的取引(代金の回収を含む。)停止以後1年以上経過した時点で弁済がない債権

※担保物がある場合には適用ができませんので注意が必要です。

②同一地区に有する売掛債権の総額が取引費用に満たない場合で、督促にかかわらず弁済がないこと。(取立て費用の方が、回収額より高額となる場合です。)

 

貸倒損失として計上できる金額は、損金経理した金額です。ただし、備忘価額として1円以上を残す必要があります。②の場合は取引先ごとに備忘価額を付します。

 

 

貸倒損失の経理処理

貸倒損失の経理処理は貸倒損失が発生した事業年度の損失として計上します。

仕訳は

貸倒損失 ××× /  金銭債権 ×××

貸倒となった債権が売掛金などの売掛債権である場合には、販売管理費として、貸付金などの場合には営業外費用となります。

 

 

まとめ

 貸倒損失は税務上の要件を満たさないで計上した場合、債務者に対する寄付金とされてしまう可能性があるので注意が必要です。

債権の回収が困難となった場合には確認してみてください。

ご不明点・ご相談がありましたら、随時ご連絡ください。

貸倒損失は計上のタイミングに注意が必要のため、幣事務所では、顧問先様の金銭債権の状況を決算期はもちろんのこと随時ヒアリングしています。

 


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