札幌大通の税理士がアドバイス アフターコロナのビジネスで、資金繰りを改善する! 払った税金を取り戻す欠損金繰戻し還付について

5月いっぱいで日本は全国の緊急事態宣言が解除され、次第に経済活動が回復しつつあります。
今回は、コロナ禍で資金繰り改善に役立つ情報をご紹介いたします。

それがこの「欠損金繰戻し還付」です。

 

目次

  1. 青色欠損金の繰戻し還付について
  2. 災害損失欠損金の繰戻し還付について
  3. コロナ禍における制度拡充ポイント

 

 

1.青色欠損金の繰戻し還付について

対象となる会社

以下の条件をすべて満たす会社です。

  • 中小企業者(事業年度終了時点で資本金(出資金)の額が1億円以下)であること。(
  • 資本金(出資金)の額が5億円以上の大法人と完全支配関係のないこと
  • 還付所得事業年度(前期または前々期)から欠損事業年度までの間連続して青色申告による確定申告をしていること。

清算中の期間に発生した欠損金や解散に伴って発生した欠損金については、中小企業者以外でも繰戻し還付が可能です。

 

申請期限

還付を受けようとする欠損金が生じた事業年度の確定申告の期限までに申請をする必要があります。

 

還付の金額

以下のように計算します。

計算のイメージがわかりにくいので、具体例を用いて説明します。

 

還付のイメージ(簡易な計算例)

12月決算会社(青色申告事業者)を想定します。
この会社は2019年12月の決算では1000万円の所得があり、申告期限である2020年2月末に300万円程度の法人税を納めています。
しかし、コロナ禍により売上が減少。翌期の2020年12月は最終赤字になり、所得は▲500万円のマイナスとなりました。

ここで2021年2月末の申告期限までに「欠損金の繰戻し還付請求」を行います。
この場合、まず所得と納税のあった2019年12月期が「還付所得事業年度」となります。
そして、▲500万円の欠損が生じた2020年12月が「欠損事業年度」となります
すると、上記の計算式に当てはめると以下のようになります。

①還付所得事業年度の法人税額:300万円

②欠損事業年度の欠損金額:500万円(「欠損金額」としてなのでプラスと考えます)

③還付所得事業年度の所得金額:1,000万円

還付金額…①300万円×(②500万円÷③1,000万円)=150万円

…ざっくり、前期に納付した法人税を上限として、当期に生じた欠損金に対応する範囲で過年度に納付した法人税を還付する、という制度となります。

 

還付される時期等

通常、確定申告と同時に申請を行った場合、その後およそ3ヵ月程度で還付となりますが、税務署の事務処理の進捗度合いでは遅れることもあります。特に現在はコロナ禍の影響もあり税務署の処理業務もひっ迫する可能性が高いので、入金時期を正確に予想できるものではないことはご留意ください。

また、欠損金繰戻し還付を行った場合、不正な還付をしていないか税務調査に来ることがあります。

 

2.災害損失欠損金の繰戻し還付について

ここまでは青色法人の一般的な欠損金の還付についてでしたが、その欠損金額が特別な災害により発生した費用等による場合は、より還付を受けやすい制度になっています。

対象となる損失

欠損金のうち、災害損失欠損金の額
※今回のコロナ禍でも、以下のような費用が対象となっています。

  • 飲食業者やイベント業者の食材・商品の廃棄損
  • 感染防止のためのマスクや消毒液の購入費用等
  • 感染者の発生により廃棄した器具等の除却損 など

 

対象となる事業者

上記のような損失により所得に欠損金が生じた場合、白色申告事業者でも1年前の納税額の一部の還付が受けられます。
また、青色申告事業者の場合であれば、この災害損失にかかる欠損金は、2期前までの納税額から還付を受けることができます。

つまり、仮に前期にあまり納税額がなく、欠損金全額に対応する還付を受けられない場合でも、そのさらに1期前に納付税額があれば、その分からも還付が受けられるようになっています。

 

3.コロナ禍における制度拡充ポイント

令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については、解散や清算に伴うものでなくても資本金(出資金)の額が1億超~10億円以下の法人にも本制度が適用可能になります。

普段本制度が適用できない規模の会社についても、適用できる可能性がありますので、是非一度確認をいただければと思います。

本制度は適用できれば資金繰りが改善する場合もありますが、細かな条件が他にもあり、適用できるかどうかについては慎重な判断が必要となります。

是非、税の専門家にご相談ください。

 


佐藤等公認会計士事務所

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