一人で会社を作る手順と法人化後の注意点を税理士事務所が解説!

一人で会社を作る手順と法人化後の注意点を税理士事務所が解説!

「一人で会社を作ろうと思っているけれど、やることが多すぎて何から手をつければいいか…」

このような悩みを抱えた方に向け、記事を書かせていただきました。

この記事を読めば、一人で会社を作る際に必要な手順や注意点がわかり、具体的な行動に移せます。

特につまずきやすいポイント、陥りがちな問題についても文中で解説しているため、起業の前の手順書としてご利用ください。

※この記事は株式会社の設立を前提としています

一人で会社を作る手順

一人で会社を作る手順

まず、一人で会社を作る際に実際に必要となる手順を見ていきましょう。

  1. 会社設立の項目(会社名、事業目的、本店所在地、資本金額など)を決める
  2. 会社の印鑑を作成する、個人の印鑑を実印として登録する
    (会社の代表者印、会社の角印、銀行印の3つを作成)
  3. 定款ていかん(会社の決まりごと)を作成し、認証を受ける
  4. 資本金の払い込み
  5. 登記申請書類を作成し、法務局で申請する

この中でも、会社の実印は作成に時間がかかります。比較的早いと言われる印鑑通販サイトでも1〜3日、実店舗の場合だと2週間前後かかる所も多いため、会社の名前が決まった段階で作成しておきましょう。

定款の作成は、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」がある点に注意。

定款の絶対的記載事項
  • 事業の目的
  • 商号
  • 本社所在地
  • 資本金額(出資財産額)
  • 発起人の氏名と住所

また電子定款で提出すれば、収入印紙代4万円がかからないため、電子での提出がおすすめです。

会社を作ってから融資を受けて運営していくには、創業計画が必要不可欠になります。次の項目で解説するため、一つひとつ整理していきましょう。

創業計画の作成方法と重要性

創業計画の作成方法と重要性

創業計画書の作成は、以下の項目に沿って書き出していきます。

項目内容
1.創業の動機創業に対する想いや真剣さをアピールする部分です
2.経営者の略歴等計会者としての必要な知識・経験はあるか、事業に関連する資格や経歴・経験があるかを記載します
3.取扱商品・サービス事業で取扱う商品やサービスについて、具体的に検討したことを記載します
4.取引先・取引関係等販売先や仕入れ先がどれだけ具体的になっているかを記載します
5.従業員従業員を雇用する予定であれば、人数と内訳を記載します。パート・アルバイトでも記載する方がベターです
6.お借入の状況創業者本人の借入について記載します(カードローン、自動車ローンなど)。事業資金部分については含まれません
7.必要な資金と調達方法自己資金と融資の調達方法についての予定を記載します、融資を受けるにあたり特に重要な部分です
8.事業の見越し創業当初から軌道に乗るまで、収支がどのように推移して利益がどれだけ出るかの予想を記載します

創業計画書を作成することで、会社の方針や戦略が明確になるだけでなく、交渉材料や融資を受ける際の信用の目安になるためしっかりと立てていきましょう。

資金調達の方法それぞれのメリットと注意点

ここでは資金調達の方法とメリット、注意点を紹介します。

項目メリット注意点
自己資金利子や手数料がかからず、資金の使途に制約がないため、柔軟な運用が可能自己資金を使い切ると、緊急時の資金がなくなるリスクがある。
銀行融資利率が比較的低く、大規模な資金調達が可能。創業融資は実績無しで借りられるなど返済能力がない場合、返済が滞るリスクがあり、担保や保証人が必要なケースもある
事業者向け融資制度(政府系金融機関)低金利での融資が可能で、サポート制度も充実手続きが煩雑で時間がかかることがあり、一定の基準を満たす必要がある
ベンチャーキャピタル大規模な資金調達が可能で、ノウハウやネットワークの提供も期待できる出資者との事業方針の相違や、株式の希薄化が起こる可能性がある
エンジェル投資家初期段階での資金調達が可能で、経営に関するアドバイスも受けられることがある投資家との関係性や、事業方針の相違が問題となることがある
クラウドファンディング初期段階での資金調達が可能で、顧客や支援者のニーズを把握することができるプロジェクトが成功しないと資金が調達できない場合がある。また、透明性が求められるため、情報開示が必要
事業提携や資本提携資金調達だけでなく、提携先のノウハウやリソースを活用できる提携先との事業方針の相違や、自社の経営権を失うリスクがある

また、法人化するとかかる税金や保険も増えます。次の項目で見ていきましょう。

税金や労働保険などの手続きと運営上の注意点

税金や労働保険などの手続きと運営上の注意点

ここでは税金や労働保険など、会社を設立した後に必要となる手続きと、運営上の注意点を解説します。

税金関係

税金の種類注意点
法人税所得に応じて税率が変わる(個人事業主で言う所得税がこれにあたる)
法人住民税赤字でも最低7万円かかる、都道府県により税率が異なる
法人事業税赤字でも課税されるケースがある
特別法人事業税都道府県により税率が異なる
消費税今までは「2年間の納税義務の免除期間」があったが、インボイス制度を利用すると、初年度から納税義務が発生する

税金関係については、確定申告(法人税申告書を税務署に提出)することで、金額が決定されます。

事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に申告と納税を終える義務があり、誤った申告をする、納税期間を過ぎるなど違反をすると本来より多くの額が課税されるケースもありますのでご注意ください。

また、消費税についてはインボイス制度が絡んできます。詳しくは以下の記事で解説しておりますので、ご覧ください。

税金関係でお悩みのことがあれば、アウル税理士法人の無料相談をご利用ください。私たちでお手伝いできる部分や、税金関係の手続きのコツなどをお伝えさせていただきます。

労働保険関係

労働保険とは「労災保険」と「雇用保険」のことで、従業員(パート・アルバイト含む)が一人でもいるなら加入する義務があります。

注意点としては、他の書類と比べ提出期限がかなり短いことです。

加入に必要な書類と提出先、提出期限は以下の通りです。

書類名提出先提出期限
保険関係成立届労働基準監督署保険関係が成立した翌日から10日以内
概算保険料申告書労働基準監督署or都道府県労働局or日本銀行保険関係が成立した翌日から50日以内
雇用保険適用事業所設置届ハローワーク(公共職業安定所)設置の日の翌日から10日以内
雇用保険被保険者資格所得届ハローワーク(公共職業安定所)資格取得の事実があった日から翌月の10日まで

労働保険関係については、厚生労働省のページから電子申請ができるため、事前に登録しておくことをおすすめします。

総務の業務改善に10万馬力の右腕を。労働保険は電子申請|厚生労働省

社会保険

社会保険には「健康保険」「厚生年金保険」などが含まれます。

書類名提出先提出期限
健康保険被保険者資格取得届年金事務所or都道府県の事務センター加入条件の発生から5日以内
厚生年金保険被保険者資格取得届年金事務所or都道府県の事務センター加入条件の発生から5日以内

一般的に、上記は同時に提出されることが多いです。

社会保険についても提出期限が短く、電子申請ができるため事前の登録がおすすめ。ただし、労働保険とは提出先が異なる点には注意が必要です。

電子申請・電子媒体申請(事業主・社会保険事務担当の方)|日本年金機構

まとめ

今回は一人で会社を作る手順をベースに、必要な手続きや書類、注意点について解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。

一人で会社を作る手順
  1. 会社設立の項目(会社名、事業目的、本店所在地、資本金額など)を決める
  2. 会社の印鑑を作成する、個人の印鑑を実印として登録する
  3. (会社の代表者印、会社の角印、銀行印の3つを作成)
  4. 定款(会社の決まりごと)を作成し、認証を受ける
  5. 資本金の払い込む
  6. 登記申請書類を作成し、法務局で申請する
ポイント
  • 創業計画は会社の方針や戦略が明確になり、交渉材料や融資の際に必要になる
  • 資金調達方法にはそれぞれの注意点がある
  • 税金は法人になると種類が変わる
  • 労働保険や社会保険や提出期限が短いため、電子での提出ができるよう事前の準備を整える

また、一人で会社を作る費用については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

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