「会社を立ち上げたいけれど、何から手をつけて良いかわからない」
この記事は、そのような悩みを抱えた方向けのガイドブックになっています。
会社設立でお困りのお客様の相談に乗り、多くの問題を解決してきたアウル税理士法人が会社立ち上げに必要な手順からかかる費用、ケースから見えてきた失敗しがちなポイントについて解説します。
まずは知識を身につけて、具体的な行動に繋げられるよう一緒に学んでいきましょう。
会社を立ち上げる手順と必要な手続き
会社を立ち上げるには大きく5つのステップがあります。
- 会社の概要を決める
- 法人用の実印を作る
定款 を作り、認証を受ける- 資本金を払う
- 登記申請書類を作成し、法務局に申請する
それぞれ注意点があるため見ていきましょう。
ステップ1:会社の概要を決める
まずは会社の基本事項を決めます。後々
主に必要な項目は以下の通りです。
- 社名
- 所在地
- 資本金
- 設立日
- 会計年度
- 事業目的
- 株主の構成
- 役員の構成
ステップ2:法人用の実印を作る
法人用の実印は以下の3種類が必要です。
- 会社の代表者印
- 会社の角印
- 銀行印
会社の実印は街にあるはんこ屋で頼むと「1日〜2週間程度」、ネットでの依頼でも「1〜3日程度」とやや時間がかかるため、会社の名前が決まった段階で申し込むことをおすすめします。
ステップ3:定款 を作り、認証を受ける
定款は、「会社の憲法」とも呼ばれる会社のルールを示したものです。記載内容は会社ごと異なりますが、「絶対的記載事項」という必ず書かなければならないものが存在します。
- 事業の目的
- 商号
- 本社所在地
- 資本金額(出資財産額)
- 発起人の氏名と住所
最近では「電子定款」というインターネット上から提出できる定款もあり、収入印紙代の4万円がかからないことから電子定款で提出される方が多いです。
ステップ4:資本金を払う
2006年から施行された新会社法により、株式会社は資本金が1円でも設立できるようになりました。ただし、これはあくまで法律上のものです。
現実的には、あまりにも資本金が少ない場合は信用に関わるため、「融資を受けにくくなる」「仕事を受けにくくなる」などのデメリットに繋がることも。
一般的には「会社設立費用+運転資金の3ヶ月〜6ヶ月分」の資本金を用意すると良いと言われています。
ステップ5:登記申請書類を作成し、法務局に申請する
会社を立ち上げる時には、登記申請を法務局にする必要があります。
この登記申請の際には一般的に以下のものが必要とされているので、事前に揃えておきましょう。
書類 | 内容 |
---|---|
設立登記申請書 | 登記の申請書 |
登録免許税分の収入印紙 | 株式会社なら少なくとも15万円以上必要 |
定款 | ステップ3で作成した定款の提出、電子定款であれば4万円安くなる |
発起人の同意書 | 発起人全員の合意の下に、社名や事業目的、本店所在地などを詳細に決定したことを証明するための書類。 |
設立時代表取締役の就任承諾書 | 設立時の代表取締役が誰かを示す書類 |
監査役の就任承諾書 | 監査役が誰かを示す書類、監査役を設置しない場合不要 |
発起人の印鑑証明書 | 発起人の印鑑登録証明書 |
資本金の払い込みを証明する書面 | 通帳のコピーを払込み証明書に添付したもの(表紙、1ページ目、振込が記載されたページをコピー) |
印鑑届書 | ステップ2で作成した会社の実印を登録するための届出 |
登記用紙と同一の用紙 | 登記事項で必要な項目を書き出したもの、法務局の用紙かCD-R |
会社を立ち上げるには最低「20万円」必要
かかる費用 | 金額 |
---|---|
資本金 | 1円〜 |
定款の謄本手数料 | 約2,000円 |
定款の認証手数料(資本金額により変動) | 資本金100万円未満:3万円100万円〜300万円未満:4万円300万円以上:5万円 |
登録免許税 | 15万円 または 資本金額 × 0.7%(いずれか高い方) |
その他費用(印鑑・謄本取得など) | 約1万円 |
あくまで今紹介したのは最低でかかる費用です。先ほどお話しした通り、資本金は安すぎるとデメリットがあり、また「事務所設置費用」「設備費用」など事業の状況によりプラスでお金がかかります。
ベースで「20万円」以上かかると考え、そこにあなたの状況でかかるプラスの金額を算出していきましょう。
会社を立ち上げる3つのメリット
先ほど紹介した通り、会社設立にはお金がかかります。しかし、お金以上に会社を立ち上げることで得られるメリットがあるため紹介します。
1.社会的な信用が得られやすい
会社を立ち上げていると、社会的な信用が得られやすくなります。
信用を得ることで、以下のようなメリットも。
- 仕事を受注しやすくなる
- 資金調達(融資など)をしやすくなる
- 事業拡大がしやすくなる
2.有限責任になり、万が一の時も生活を続けられる
会社を設立すると「有限責任」となり、負債が多く万が一倒産した時でも負債額返済の責任が出資額までとなる制度です。
これに対して、個人事業主は「無限責任」であり、負債全ての返済をしなくてはいけません。つまり、個人の財産を売却してでも返済しなくてはいけなくなります。
このように、有限責任となることもメリットの一つと言えるでしょう。しかし、会社として融資を受ける際、「社長の個人保証」を求められている場合は、実質的に無限責任となってしまう点には注意が必要です。
3.税負担が軽くなる場合がある
会社を立ち上げると、経費にできるものが増えます。例えば人件費(給料)、接待交際費、福利厚生費など。
個人事業主では経費にできないものも、会社であれば経費にできるケースが多いため結果として税負担が軽くなる場合があります。
また、所得税から法人税になるなど税金の種類が変わるため、所得が1,000万円を超える場合は会社を立ち上げた方が負担が減るケースが多いです。
会社立ち上げ時に失敗しがちなポイント
会社を立ち上げることはメリットも多いですが、失敗しがちなポイントもあります。「こんな筈じゃなかった…」と後悔しないためにも学んでおきましょう。
法人住民税の負担が大きい
通常の住民税では、赤字所得の場合は免除になります。しかし、会社を立ち上げると会社にかかる「法人住民税」が発生し、赤字だったとしても最低「7万円」の税額がかかります。
創業融資を受けなかった
創業融資を受けなかったばかりに、資金繰りで苦労する、毎月ギリギリの資金でストレスが強く体を壊してしまったという話をよく耳にします。
創業融資は期間内であれば創業計画書があれば融資を受けられる場合が多く、実績が無くても受けられるのが重要なポイントです。
例えば、札幌市であれば創業後5年未満の会社に「創業・雇用創出支援資金」が設けられています。
創業融資の期間を過ぎてしまうと、実績が求められ、軌道に乗っていない状態で融資を受けられないというケースも多く耳にします。
創業融資は無理のない範囲で受けておきましょう。
税務・会計業務が追いつかない
「会社設立後は資金も少ないため、全て自分で…」と考えられる方もいらっしゃいます。しかし、税務・会計業務は複雑なものも多く、時間を取られてしまい肝心の事業に集中できないというケースも数多くあります。
税務・会計業務は簿記などに精通している方を除き、一部または全部を専門家に依頼する方が事業に集中でき、成功への近道となります。
それでも、会社立ち上げには不安がつきものです。次の項目では、アウル税理士法人がお手伝いできることを中心に具体的な解決方法を紹介します。
会社を立ち上げ後が不安な場合の解決策
会社を立ち上げること時に不安が多い場合は、税理士に相談することをおすすめします。
税務・会計の申告や帳簿が不安な方:会計支援を利用する
お客様の業種、事業内容、規模に合った帳票の保存方法から帳簿のつけ方まで、サポートさせていただくサービスです。
また紙の帳簿だけでなく、継続して運用しやすい「自動化」についてもアドバイスさせていただき、会計ソフトで簡単にできる帳簿の付け方についても紹介します。
税務・会計全般が不安な方:顧問会計契約を結ぶ
一番不安が解消されるのは顧問会計を利用することです。あなたの会社に寄り添う税理士として契約し、何か問題が起きた時でも解決のために行動してくれます。
しかし、その分料金も高く立ち上げ直後では現実的に雇うのが厳しいケースも多いです。金銭的な余裕ができるまでは、会計支援で局所的にご利用いただければ、費用と実務のバランスが取れるかと思います。
経営が不安な方:経営塾を利用する
アウル税理士法人では「経営塾」というドラッカーを中心に、会社経営で「何をすべきか」「何を変えるか、何を変えてはいけないか」を学ぶ会を行なっています。
同じ境遇、悩み、そして志をもつ者同士が出会い、皆様の経営の不安を少しでも取り除くお手伝いができればと考えておりますので、経営にお悩みの方はご相談ください。
zoom参加も歓迎のため「仕事後に大通まで行くのは大変…」「札幌に住んでいないけれど、経営について学びたい」という方でもご参加いただけます。
もちろん税理士としての利用が無い方でも大歓迎です!
経営塾の詳細を見てみるまとめ
今回は会社を立ち上げる方法と、費用、メリット、注意点について解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。
- 会社の概要を決める
- 法人用の実印を作る
- 定款を作り、認証を受ける
- 資本金を払う
- 登記申請書類を作成し、法務局に申請する
- 費用は最低「20万円」かかる
- メリットは「信用が得られやすい」「有限責任になる」「税負担が軽くなる場合がある」
- 会社立ち上げ時には「法人住民税がかかる」「創業融資を検討する」「税務・会計業務が現実的に可能か」について考えておく
アウル税理士法人では、会社を設立する方のお役に立てるよう情報を多く公開しています。以下の中からあなたの状況に合うものもあわせてご覧ください。
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