「仕組みづくり」とは、顧客価値を提供するためのプロセスをどのように作るかについての原理原則です。
- 事業とは、市場において知識という資源を経済価値に転換するプロセスである。
- 『創造する経営者』
仕組みとは、事業というプロセスそのものを意味します。一つの事業は、企画業務、設計業務。仕入業務、製造業務、販売業務、アフターサービス業務、経理業務、財務業務、人事業務など必要な業務群で成立します。
一つの業務は、いくつかの仕事で成り立っています。さらに、一つの仕事は、いくつかの作業で出来上がっています。工場などでは、さらに作業は動作に分解されます。
事業は<業務―仕事―作業―動作>で出来上がっているといえます。<業務―仕事―作業―動作>は、プロセスであり、どれも要素と手順で表現することができます。
このような考えの中で、一つの事業を行うときプロセスのあるべき姿を考えます。ドラッカー教授は、このことを「仕事の設計」と呼びました。つまり論理的にプロセスは考えられることを意味しています。
たとえば、トヨタと日産の業績に差があるのは、端的にいえば、プロセスの違いによります。鉄鋼板、タイヤ、ガラスなど外部から買えるものにほとんど制約はないはずです。
では何で差が開くのか。
たとえば、デザインの訴求力や製造現場の改善力、アフターサービスの充実などを挙げることができます。これらは、提供プロセスのどこかに位置づけられる業務であり、仕事です。
業績の差とは、顧客価値の差ということができます。その差が生まれる源泉は、事業という一つのプロセスの仕事、もう少し言うと作業の中から生まれます。作業の差が顧客価値の差を生み出します。つまり企業活動に目を凝らすことです。
コストに目を凝らすのではなく、活動に目を凝らすのです。コスト管理ではなく、活動管理こそが重要です。会計という定量情報にばかり触れていると、コスト管理に意識が向きます。活動にコストはつきものなのですが、優れた活動であるのか、そうでないのか。どんな活動にコストをかけているのかが問題なのです。活動管理を前提としないコスト管理は、誤った結論に導く可能性があるということを肝に銘じておかなければなりません。
マネジメント会計の一つの視点は、「活動」という定性情報との関係を深堀するものです。その際、<業務―仕事―作業―動作>と活動を分解し、改善し、再統合する思考が重要です。仕組み資産の作り方の最大のポイントといっても過言ではありません。
「仕組み資産」の作り方は、「仕事の設計」という思考習慣から始まります。
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