相続税の税務調査でよく聞かれる5つの質問と対策

「期限通りに申告と納税も済ませたはずなのに、後日税務署から連絡が入り税務調査の対象になってしまった!」というケースは4、5人に1人の割合となっています。

相続税の税務調査で問題が指摘されれば、高額な追徴課税をされてしまう可能性もあるので、注意が必要です。

 

ここでは、相続税の税務調査の概要や、税務調査で聞かれることの多い質問、税務調査の対策をお伝えしていきます。

税務調査とは

相続税の申告について申告額を間違えている、また申告の必要があるにも関わらず、申告をしていない場合は、税務署職員が被相続人(亡くなった人)や相続人の自宅などを訪問し、調査を行うことがあります。

国税局や税務署の職員が、税金についての調査をするために納税者に証拠書類の提出を求めたり、直接会いにくることを税務調査といいます。

 

「マルサの女」のような突然家に押しかけてきてガサ入れするようなことはありませんので、ご安心ください。

よく聞かれる5つの質問と対策

次に、税務調査で実際によく聞かれる5つの質問とその対策を見ていきます。

何も情報なく税務調査を受けるよりも、どのような質問をされるのかを知っておくだけでも多少は安心できるでしょう。

 

1. 名義預金の調査

税務調査で必ずと言っても良いほど聞かれるのが、この「名義預金」に関する質問です。

名義預金・・・名義預金とは、他人名義の口座で自分のお金を管理すること。

 

たとえば、被相続人が子どものために定期的に貯金していた口座が名義預金と見なされることがあり、そうなると隠し財産として重加算税を課される場合もあります。

名義預金対策としては、受贈者本人が通帳を管理し、財産を自由に管理できる状態にすることが重要です。

 

2.被相続人の趣味

書画・骨董品を集めることが趣味の場合、相続財産として申告されているかチェックします。

クルーザーやヨットなら停泊権、ゴルフなら高価なゴルフクラブや会員権が申告から漏れていないか、確認が行われます。

 

何気ない世間話のように聞いてくるため、曖昧に回答していると、実はその質問の1つに深い意味が隠されている可能性があるので、税務職員からの質問に答える際には、よく考えてからにしましょう。

 

3.定期預金の行方

被相続人の定期預金が満期を迎えたり、解約していた場合はその行方について聞かれます。

 

銀行には、定期預金が満期解約された履歴と解約後に出金された金額の履歴が残りますが、税務調査の前には、これらの履歴はすでに把握されていて、浪費していなければ何らかの財産になっているはずだとして、税務調査官はその関連した財産を探ってくるわけです。

 

不動産や自動車などを購入したのであれば、それらの相続財産についても申告していないと申告漏れとなってしまいます。

家に現金で置いているのであれば、その現金も相続財産として申告する必要があります。

 

税務署にはバレないだろう」と思っていても、税務署はしっかりと把握していることが多いので、出金したお金の使い途は、正直にきちんと説明できるようにしておく方が良いでしょう。

 

4.被相続人の死亡原因について

事故死か病死の区別、療養期間は長かったか否か、意思能力や行為能力はいつまであったかなどを確認します。

 

事故死か病死かで、相続対策に費やす時間が変わってきます。

特に、被相続人に認知症等や意思能力の衰えがみられる場合、相続開始前に財産整理を誰が行たのか、他の人へ財産の移動が行われていないか等の確認をするためです。

 

5.ご家族(相続人)の職業と収入、毎月の生活費

1ヶ月の収入(手取り)-生活費=1ヶ月の貯蓄額として、毎月の生活費の目安を計算します。

計算した額を超えて貯蓄が増えている場合、被相続人から援助があったのか、その際、贈与税の申告が行われているか等の確認が行われます。

その他よくある質問

 

被相続人の経歴や職歴について

蓄財の方法や当然所有しているであろう財産の推定を行います。

 

 

被相続人の財産は生前、誰が管理していたのか

 

管理者の預金と被相続人の預金との区分ができているか確認します。また、仮装隠ぺいしていた事実がある場合には、誰かを特定するために質問します。

 

相続人の家族の職業や推定所得について

 

相続人の収入の確認をし、相続人の預金等の有高のバランスを検討します。

 

郵便局やJAの預貯金等がないか

 

一般的に都心部以外の地域では郵便局やJAとの取引が多く行われているため、申告されていない場合、確認します。

 

相続税の納税資金はどこから捻出したのか

 

多額の相続税の納税資金の出所はどこかを確認し、申告漏れとなっている金融資産などの発見の端緒とします。

 

その他の金融資産はないか

 

具体的に○×銀行などに預金はないかと質問する場合には、資料を押さえたうえでの質問と思われます。その場合、相続人は再確認のうえ申告漏れがないか慎重な対応が必要です。

印鑑の保管場所

香典帳

誰が葬式に参列したか、銀行や証券会社の人はいないか

取引している(いた)金融機関の名称と支店名

被相続人の自宅の購入金額や過去の所有していた不動産の売却金額

相続人の家族の年齢、学校名、職業

入院していた場合には、その時期や病院名など

介護費用や入院費用にいくらかかったか

死亡直前に出金したお金があったら、その使い道

証券会社との取引状況

 

質問に対して明確な回答ができない場合、正直にわからないことを伝え、後日、事実関係を確認して回答を行うようにしましょう。

早めに税理士に相談

税務署はできるだけ多くの税金を取ろうとしてきます。また、正しい税額は法律の解釈次第で増減するため、税法に詳しい税理士を見方につけるのが得策です。

一生に一度か二度の手続きなのでやり方を覚えるメリットがほぼ無いことや、相続財産の中から税理士の報酬を支払えることを考えると、ぜひプロの税理士に依頼しましょう。

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