
アウル税理士法人が主催する、「10million倶楽部」第8回セミナーを開催しました。
今回のテーマは、
「高付加価値経営に導く戦略設計書を作成する」。
変化の大きい時代において、過去の延長線上に計画を立てるのではなく、2040年の外部環境と自社のありたい姿を見据え、そこから逆算して付加価値を創造する戦略の設計に取り組みました。
過去の延長から未来は描けない|プランニングから戦略へ
これまでの傾向が明日も続くことを前提とする計画は、環境変化が比較的小さい時代には有効でした。
しかし、人口減少、賃金上昇、物価上昇、技術革新などによって、社会や産業の構造そのものが変わる時代には、過去の数字を延長するだけでは不十分です。
必要なのは、変化が起こり得る領域を捉え、その変化を自社の機会へ転換するための戦略です。
今回の講座では、2040年頃の日本経済について示されている複数の見通しを確認しました。名目GDP、実質成長率、賃金、生産年齢人口などの変化は、中小企業の採用、価格、投資、生産性に直接影響します。
未来を正確に予言することが目的ではありません。自社の経営に大きな影響を与える前提を明らかにし、環境が変化しても判断の軸を失わないようにすることが重要です。
2040年の「わが社の姿」を数字で描く
戦略設計の出発点は、2040年に自社がどのような姿になっていたいかを数字で描くことです。
売上高だけではなく、付加価値額、付加価値率、社員数、一人当たり付加価値などを用いることで、「どれほどの価値を、何人で生み出す会社を目指すのか」が具体的になります。
特に重要なのが、一人当たり付加価値です。
賃金の上昇を実現しながら利益を確保するためには、社員数を増やすだけでなく、一人ひとりが生み出す付加価値を高めなければなりません。
現在と2040年の数値を比較すると、その間に新たに創造すべき付加価値額が明らかになります。目標と現状の差が、これからの戦略で埋めるべきギャップです。
付加価値の増加を4つの基本戦略へ配分する
次に、2040年までに増やす付加価値額を、4つの基本戦略に配分しました。
- 既存商品を既存市場で伸ばす「市場深耕」
- 既存商品を新しい市場へ届ける「市場開拓」
- 新しい商品を既存市場へ提供する「商品開発」
- 新しい商品を新しい市場へ提供する「多角化」
すべての成長を一つの事業に期待するのではなく、どの戦略で、どれだけの付加価値を生み出すのかを仮置きします。
こうして金額と比率を置くことで、どこで戦うのか、何を手段とするのか、どこへ人・時間・資金を集中するのかが見え始めます。
価値・仕組み・卓越性を一体で設計する
戦略は、数値目標を設定するだけでは実行されません。
今回の講座では、それぞれの基本戦略について、次の3つを一体で考えました。
- 顧客に提供する価値をどのように再設計するか
- その価値に顧客の関心を向けてもらう仕組みをどうつくるか
- 価値を支える自社の強みや知識を、どのように卓越した水準まで高めるか
たとえば、業務をデジタル化して時間を削減するだけでは、付加価値は自動的には増えません。そこで生まれた時間や人材を、顧客の課題解決、情報提供、新サービスの開発などへ振り向ける必要があります。
「何をやめるのか」「何を始めるのか」「何を伸ばすのか」を年度ごとの活動に落とし込み、複数の活動が互いにどう影響するかまで設計することで、戦略が具体化します。
ワークショップ|未来から逆算して行動を決める
ワークでは、2040年の自社の姿を数値で描き、そこまでに創造する付加価値額を算定しました。
さらに、その付加価値額を4つの基本戦略へ配分し、事業・商品の価値をどのように再設計するかを検討しました。
遠い未来の目標も、付加価値額と年度別の活動へ分解すると、現在取り組むべきことが具体的になります。
一方で、未来の数字は一度決めて終わりではありません。外部環境や実行結果を確認しながら、前提と戦略を定期的に見直していくことも必要です。
おわりに
戦略とは、未来を当てるためのものではありません。
起こり得る変化を見据え、自社が目指す姿を定め、現在とのギャップを埋めるために資源を集中する方向を決めるものです。
2040年の自社の姿を描き、必要な付加価値額を明らかにし、価値・仕組み・卓越性を具体的な活動に落とし込む。その積み重ねが、インフレと人口減少の時代を乗り越える経営につながります。
10million倶楽部では、今後も高付加価値経営を実現する戦略を、自社の数字と活動に結びつけていきます。



