
アウル税理士法人が主催する、「10million倶楽部」第7回セミナーを開催しました。
今回のテーマは、
「インフレ経済下での売上計画」と「知識のマネジメント」。
生成AIを単なる業務効率化の道具で終わらせず、顧客価値と付加価値の向上につなげる方法を考えるとともに、物価上昇の影響を踏まえた売上計画の立て方、自社独自の知識を特定する方法について学びました。
生成AI活用の目的|省力化ではなく付加価値を増やす
生成AIを導入するとき、最初に思い浮かぶのは「作業時間を減らす」「文章作成を速くする」といった効率化かもしれません。
しかし、今回の講座で確認したのは、生成AI活用の目的は単なる省力化ではないということです。
大切なのは、社内にある紙、音声、画像、日報、顧客の声、社員の経験などをデータとして残し、整理・標準化したうえで、仕事に役立つ情報へ変えることです。さらに、その情報を判断基準やフレームワークにまとめ、会議、提案、育成などの実務に組み込むことで、初めて組織の「知識」になります。
たとえば、ベテラン社員がどのような観点で判断しているのかを言語化できれば、新人教育の期間短縮や提案品質の向上につながります。顧客の声を整理・分析できれば、ニーズに沿った提案やサービスの再設計にも活用できます。
AIを使った結果、時間が減ったかだけではなく、提案の質、応答速度、ミスや手戻り、顧客満足、一人当たり付加価値がどう変化したかまで確認することが重要です。
インフレ下の売上計画|名目値と実質値を分けて考える
インフレ局面では、売上高が増えていても、事業の実力が同じだけ伸びたとは限りません。
金額の増加には、販売数量の増加だけでなく、物価や単価の上昇も含まれているからです。そこで、売上計画を立てる際には、金額として表れる「名目値」と、価格変動の影響を除いた「実質値」を分けて考える必要があります。
たとえば、売上が5%増えたとしても、そのうち3%が価格上昇によるものであれば、数量や事業活動の実質的な成長は2%と捉えることができます。
インフレ下では、前年の売上高に一定の伸び率を掛けるだけの計画では不十分です。
どれだけを価格改定によって実現し、どれだけを顧客数や販売数量、新商品、新市場によって実現するのか。売上増加の中身を分解することで、実行すべき活動が具体的になります。
実質成長を4つの方向から設計する
価格上昇の影響を除いた実質成長については、「市場」と「商品・サービス」の2軸で整理しました。
- 既存市場×既存商品による市場深耕
- 新規市場×既存商品による市場開拓
- 既存市場×新規商品による商品開発
- 新規市場×新規商品による多角化
この4つに分けて考えることで、「既存顧客への提供価値を高めるのか」「新しい顧客層へ展開するのか」「新たなサービスをつくるのか」が明確になります。
さらに、それぞれの戦略を実現するために、自社のどの知識や能力を使うのかを結びつけて考えました。成長目標を数字だけで終わらせず、知識を適用する具体的な活動へ落とし込むことがポイントです。
ワークショップ|自社独自の知識を診断し、言葉にする
後半では、自社に特有の知識を「棚卸し・診断・統合」の流れで整理しました。
まず、繰り返し成功している仕事、他社が苦労しているのに自社では自然にできる仕事、顧客や周囲から評価されている仕事などから、強みの候補を集めます。
次に、その知識が陳腐化していないか、成果の上がる領域に集中して使われているか、定義が狭すぎたり広すぎたりしないかを診断します。
最後に、自社独自の知識を一文で表現します。ここで大切なのは、強みそのものと、強みを生かす「仕組み」を混同しないことです。
自社の強みを明確な言葉にできれば、どの市場で、どの商品・サービスに、どのように適用するかを考えられるようになります。
おわりに|数字と知識をつなげて成長を設計する
インフレ下では、売上の増加だけを見ていても、本当の成長は見えません。
名目成長を「価格改定」と「実質成長」に分け、実質成長を市場深耕・市場開拓・商品開発・多角化に分解する。そして、それぞれを実現する自社独自の知識を特定する。
この一連の流れによって、数字と日々の活動が結びついた、実行可能な経営計画になります。
10million倶楽部では、今後もAIや自社データを活用しながら、知識を顧客価値と付加価値へ転換するための学びを深めていきます。



