確定申告では、何かとわからないことが出てきます。
「この金額の処理はどうすればいい?」「ネットで調べたけど、計算方法がいまいちよくわからない」
このような疑問のように、確定申告のやり方に関して不安が生じたときは、専門家に相談するのがおすすめです。
この記事では、確定申告に関して安心して相談できる場所をご紹介します。
確定申告は税務署で相談できる
毎年年明けから、個人事業主をはじめ多くの人が頭を抱える確定申告。
そんな人たちが少しでもスムーズに確定申告できるよう、税務署では相談窓口を設置し、無料で相談が受けられる体制を整えています。
とはいえ、確定申告書は、所得税を申告する人(または依頼された税理士)が作成しなければなりません。
不明な点は適宜調べたり、専門家に相談して、正しく申告できることを目指しましょう。
どんな内容であれば税務署に相談できるのか、確認してみましょう。
税務署で相談できる内容
確定申告書を作成するときの悩みには、さまざまなタイプのものがあります。どこに数字を書けばよいのか、どのような書類の添付が必要なのかといった形式的なものから、そもそも売上や費用の計算がわからないという経理的なものまで、さまざまです。
そんな悩みの中でも、基本的に税務署が相談に乗ってくれるのは、書類の書き方や必要書類などといった形式的なもの。領収書を持っていって経費にできるのか、といった経理判断を伴うような個別的な内容までは、税務署職員も断定できません。
確定申告書を作るためには、売上や費用の経理処理が必要ですが、このような処理のひとつひとつは税務署が判断することではないので、基本的に相談の範囲外となります。したがって、経理の判断や記入等については、申告者本人(または依頼する税理士)の責任において進めていかなければなりません。
ただし、経理といっても、医療費控除の医療費の範囲や、親族の扶養範囲など、あらかじめ一般的な答えが決まっているようなことであれば回答してもらえます。
確定申告の時期になると、税務署は相談者で溢れ、提出の人も含めるとかなり待たされるということがあります。確定申告の相談は、まずは質問する要点をあらかじめまとめた上で行い、時間の無駄を省くように協力しましょう。
税務署の相談窓口一覧
税務署では、確定申告や税に関する相談を受けるため、いくつもの相談窓口(無料)を設けています。質問したい内容や状況に応じて使いやすい方法を選ぶことができます。
税務署窓口・確定申告会場
税務署の窓口や確定申告会場では、申告の相談を受け付けています。対面で書類を見せながら相談できることが大きなメリットです。控除に使う書類など、必要書類が揃っていれば、その場でアドバイスを受けながら申告書を作成・提出することができます。
ただし、税務署や申告会場は混雑していることが多く、しばらく待つことになったり、十分に相談できない可能性もあります。
事前予約や整理券などがある場合も多いので、地域の税務署の案内を確認しておきましょう。
国税局電話相談センター
国税庁電話相談センターでは、所得税の確定申告を含むさまざまな税の相談を受け付けています。不明点があったとき、自宅からすぐに相談可能です。なお、個人情報を伝える必要はなく、匿名で相談できます。
参考:国税庁「国税に関するご相談について」
聴覚障害者等専用電子メール相談窓口
税務署では、聴覚に障害を持ち電話相談が難しいという方向けに、電子メールでの相談を受け付けています。
国税に関する一般的な内容を質問・相談することができます。
参考:国税庁「聴覚障害者等専用電子メール相談窓口」
税務署に相談するメリット・デメリット
税務署に相談する大きなメリットは、無料ということです。
税理士でも無料相談を行なっているところは多いですが、気が引けてしまうこともあるかもしれません。その点、税務署なら気兼ねなく相談に行くことができます。
デメリットとしては、長時間待たされることがあるということです。無料で多くの人の相談を受け付けているからこそ、日によっては人が殺到し、なかなか自分の番が回ってこなかったり、電話が繋がりづらくなってしまいます。
また、税務署の相談は個別的なことに対応していないということも注意が必要です。税務署での相談はあくまでも確定申告書を作成し、提出するためのものです。具体的な経理処理や節税テクニックなども期待できません。
税務署に相談にいけばすべて解決できるわけではない、ということは理解しておきましょう。
税務署以外で相談する方法
確定申告に関する相談は、税務署以外でも行うことが可能です。確定申告や税について正しい知識を持った専門家に相談することが大切です。
ここでは、税務署以外の相談先をご紹介します。
税理士に相談する
税理士は、確定申告の相談や節税対策について相談できる、税に関するプロフェッショナルです。個別の事情や処理の方法などについても相談できます。
月額ごとに料金を払う顧問契約を結んでいなくても、確定申告の代行が可能です。この場合はスポット契約という形で、1回限りの業務委託を依頼することになります。
費用を抑えたいという方は税理士のスポット契約を検討したり、無料相談の活用を考えてみてください。
アウル税理士法人の無料相談はこちらより細かいアドバイスや節税対策を受けたいという方は、顧問契約を検討してみても良いかもしれません。税理士は事業の売上や費用をみながら、経営状況を見ています。
事業主の方と定期的にコミュニケーションをとりながら、事業の成長をサポートすることができますし、経営判断のサポートや資金調達の支援なども行うことができます。
アウル税理士法人のサービス案内青色申告会・商工会議所・商工会で相談する
色申告会や納税協会、商工会議所・商工会では主に会員向けの確定申告相談を提供しています。青色申告会は、主に個人事業主などの納税者が中心となって組織された団体で、青色申告を行う個人事業主に対するサポートや経営に関する相談を行っています。
同様に、商工会議所・商工会は地域の商工業者向けに経営相談などを提供している機関です。
これらの団体は全国各地に支部が存在しており、会員でなければ相談が受けられない場合が一般的です。したがって、相談を希望する場合は、地域の該当団体に入会することを検討しましょう。
確定申告の相談前に準備すること
確定申告の相談をするときは、事前に準備しておくとスムーズです。
- 何を聞きたいかまとめる
- 質問時に必要な資料をそろえる
- 相談先の受付時間や予約が有無について確認する
必要な情報が足りないと、改めて相談に行かなければならなくなる可能性もあります。「わからない」と思ったときにすぐ電話をかけるのではなく、まずは準備を整えましょう。
確定申告に関するQ&A
確定申告をスムーズに進めるため、確定申告でよくある質問をまとめました。
確定申告をしなかった場合のペナルティは?
確定申告の期限を過ぎてから申告する必要性に気づいた場合、遅れずに速やかに申告手続きを行うことが重要です。
期限を逃してからの申告は「期限後申告」と呼ばれ、通常の税金に加えて延滞税が課されることになります。しかし、ペナルティがあるからといって申告をしないでいることは避けるべきです。
申告を怠り続けると「無申告」とみなされ、税金を意図的に逃れていると判断される可能性があります。
この場合、延滞税に加えて無申告加算税が課されるなど、ペナルティはより厳しくなります。期限を過ぎてしまった場合でも、なるべく早く申告することが重要です。
期限を過ぎた後の確定申告は、自己申告による「期限後申告」と、期限を過ぎても放置する「無申告」とでペナルティが異なりますので、注意が必要です。
所得税はどのように計算される?
所得税の税率は、課税対象の所得金額にあわせて7段階に区分されています。
以下のような表で表されるように、段階的な計算が必要になります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
払いすぎた分の所得税は戻ってくる?
個人事業主が収入を得る際、業務の性質によっては報酬総額の10.21%(所得税10%プラス復興特別所得税0.21%)が源泉徴収されることがあります。
この割合は、報酬が100万円を超える部分については20.42%になります。
源泉徴収とは、事業主が従業員に代わって給与から税金を差し引き、国に納付するシステムのことです。
この源泉徴収には、必要経費や様々な所得控除(例えば医療費控除や配偶者控除)が含まれていません。確定申告をする際にこれらの経費や控除を申告することで、払い過ぎた税金を返還してもらうことが可能です。
しかし、源泉徴収された税額が実際の納税額より少ない場合、不足分を追加で支払う必要があります。
確定申告と年末調整の違いは?
年末調整は、会社が一年間に従業員に支払った給与や賞与から引いた源泉徴収税額と、実際に納めるべき所得税の合計を精査し、その差額を調整する手続きです。これにより、年間の正確な税額を算出します。
この年末調整と確定申告の主な差異は、手続きを行う主体が異なることにあります。どちらの手続きも、国へ納める所得税の正確な額を確定させることを目的としていますが、違いは手続きの主体です。
年末調整は、従業員が勤務する会社が実施するものです。一方、確定申告は主に個人事業主や年金受給者など、給与所得者以外の個人が自ら行うものです。
ふるさと納税をしたら確定申告が必要?
ふるさと納税は寄付に該当し、寄付金としての控除や還付の恩恵を受けることが可能です。
この制度では2つの控除の受け方があります。
1つは確定申告を通して控除や還付を受ける方法です。
2つ目は「ワンストップ特例制度」を活用し、確定申告なしで控除・還付を得る方法です。
どちらを利用できるかは、個々の状況によって異なります。自身の状況を以下の基準に照らし合わせてご確認ください。
確定申告が必要な場合は以下のような状況です。
- 年間で6つ以上の自治体に寄付をした
- 寄付した自治体の中でワンストップ特例の申請書を提出できなかった
- 給与収入があり、高額な医療費の支出があるなど、他の控除申告が必要
また、以下のような場合も確定申告が必要です。
- 個人事業主や不動産収入がある
- 不動産や有価証券、会員権等の売却益がある
- 年収が2,000万円を超える
- 複数の会社から一定額以上の所得を得ている
これらの方々は、ふるさと納税をしていなくても確定申告を行う必要があります。医療費控除や住宅ローン控除を受ける方も同様です。
年間の給与収入が2,000万円以下で、他の収入や控除申請がない方は必ずしも確定申告をする必要はありませんが、この場合控除を受けられない点に注意が必要です。
まとめ
この記事では、確定申告に関して安心して相談できる場所をご紹介しました。
- 税務署・・・対面・電話・チャットなどさまざまな窓口があり、全て無料で相談できる。一般的な内容であれば詳しく丁寧に教えてもらえる。
- 税理士・・・頼れる相談先。基本的に何でも相談でき、確定申告の代行もお願いできる。節税対策や経営のアドバイスを受けることも可能。無料相談も活用できる。
- 青色申告会・商工会議所・商工会・・・個人事業主であれば相談できる。入会して会員となることで相談できる所がほとんど。
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個人事業主から法人成りを検討している方や、申告書の作成に不安を感じる方、これからの経営について相談したい方は、ぜひ一度アウル税理士の無料相談をご利用ください。
アウル税理士法人
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