法人に対する税務調査はどのようにして行われる?税務調査の流れや準備するべきことを解説します

法人に対する税務調査はどのようにして行われる?税務調査の流れや準備するべきことを解説します

「会社を設立してから何年か経っていて、いつ税務調査が来るのかわからなくて不安」

「税務調査の事前通知が来たが、何をどう準備していいか分からない」

税務調査という言葉を聞くと、税務署によって何か恐ろしいことをされるのではないかという不安があると思います。

ただし、税務調査の特徴や流れを知っておけば、冷静に対応することができるものです。

今回は、法人に対する税務調査ではどのようなことが行われるのか、全体的な流れや内容や準備するべきポイントなどを解説します。

法人を対象とする税務調査とは

税務調査とは、国が定めた納税の制度を守って、正しい税額が申告されているかどうかを調査することを言います。

この税務調査は、「課税の公平」を維持する役割を担っています。

全国に約500箇所ある税務署は、管轄する企業の申告書を見て、正しい申告かどうか怪しい場合に税務調査を行います。

(ただし、資本金の総額が1億円を超える企業は、税務署ではなく国税局が調査を担当します。)

税務調査が行われるきっかけ

税務署が税務調査を要すると判断するときは、主に以下のポイントで分析されています。

  • 業績や事業規模の著しい変動
  • 不正の発覚件数が多い「重点業種」
  • 不正に関する内部告発
  • 同業他社との比較
  • 長期間税務調査が行われていない
  • 申告書に明らかな誤りがある

税務署は、独自に持っている様々なデータから分析します。

例年よりも売上や経費が大きく増えたり、同業他社や同じ規模の会社の平均額と比較して、目立つ点がある場合に調査が入りやすいです。

また重点業種とは、他の業種と比べて、過去に不正の発覚件数が多い業種を指します。

飲食業や建築関連業、インターネット取引などの業種が挙げられます。

税務調査の種類

税務調査には、主に「強制調査」と「任意調査」の2つに分けられます。

強制調査とは、税務署ではなく国税局が担当する調査です。裁判官の許可を条件として、捜索などができます。主に脱税などの悪質で違法な所得隠しなどに対して行われ、資料の押収などができる強制力を持ちます。

任意調査とは、国税通則法のもと主に税務署が行う調査です。強制調査のような強制力は持ちませんが、調査官の質問や要求を拒否することはできません。

税務署が納税者に事前通知を送り、約2〜3週間後に調査が行われます。

世間で呼ばれるところの「税務調査」は、一般的には任意調査を指します。

税務調査の全体の流れ

税務調査の全体の流れを段階ごとに分けると、以下の通りになります。

  1. 税理士への聴取
  2. 事前通知
  3. 実地調査
  4. 税務調査の終了手続き
  5. 修正申告もしくは更正

それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

1.税理士への聴取

税理士と契約して申告書の作成を依頼していた場合、税理士が税務を代理したことを示す書類を添付していれば、事前に税理士に対する聴取が行われます。

税理士の回答により税務署の疑念が解消された場合、実地調査は短縮もしくは省略されることがあります。

2.事前通知

税務署は、納税者である法人に事前通知を行います。

電話か書面にて税務調査を行う旨の連絡があり、実地調査開始日時や調査の目的などが知らされます。

3.実地調査

事前通知の約2〜3週間後に、実地調査が行われます。多くの人が「税務調査」と聞いてイメージするのがこの場面かもしれません。

実地調査には、一般調査、現況調査、反面調査、特殊調査、特別調査の、主に5つに分類されます。は一般調査が

それぞれの内容について見ていきましょう。

・一般調査

現場や事務所への立ち入り、帳簿や書類の検証を行う調査です。

申告書の内容が法定通りに記載されているのかを、社内にある資料を見て調査します。

多くの場合の税務調査は、この一般調査にあたります。

・反面調査

銀行や取引先など、第三者に対して行う調査です。

現場や事務所内の資料のみでは判断ができない場合などに、取引先の会社や銀行へ調査が行われます。取引内容が正しいか確認するため、取引先へ実地調査が行われる場合もあります。

・現況調査

いわゆる抜き打ちの調査です。事前通知がなく調査官が訪れます。

現金の直接的な取引が行われる飲食店などが対象になることが多いです。

・特別調査

一般調査は2日間程度で終わりますが、細かく調べる必要があるケースの場合は期間を設けずに調査が行われるケースもあります。

多額の不正金額が疑われ、証拠が隠蔽されている可能性が高い場合、長期間かけて実施されるのが特別調査です。

4.税務調査の終了手続き

税務調査を行い、更正する必要性の有無によって手続きが異なります。

更正とは、「納税者が、税務署の指摘に応じない結果、税務署側が申告を修正すること」をいいます。

ただし、基本的には修正申告と更正の違いで、追徴課税額が変わることはありません。

・更正する必要がない場合

更正する必要がない場合、その旨が書面で通知されます。

・更正する必要がある場合

更正する必要がある場合、調査結果についての説明があり、修正申告を勧められます。

5.修正申告もしくは更正

税務調査の結果、更正する必要がある場合は、修正申告書を提出するか更正の通知を受けます。

また、修正申告と更正のどちらでも、別途、加算税や延滞税が生じる場合があります。

税務調査で調べられるもの

税務調査で調べられる対象は、主に帳簿や資料、現金や現物です。

実地調査で調べられる内容は主に以下の項目です。

  • 申告書類
  • 帳簿書類
  • 領収書、請求書、契約書などの
  • 預金通帳
  • パソコン内のデータ
  • 不動産登記簿謄本

詳細はこちらの記事でも解説していますので、気になる方はぜひチェックしてください。

税務調査に対して準備しておくべきこと

事前通知を受けてから、実地調査が行われるまでの間に準備しておいた方がいいポイントについてご紹介します。

会社に関する情報

税務調査では、会社をいつ設立したか、など会社にまつわる内容を細かく質問されます。

あらかじめ会社に関する情報を改めて整理しておいて、冷静な受け答えができるようにしておくことが大事です。

帳簿や資料

  • 帳簿書類
  • 領収書
  • 申告書
  • 請求書
  • 議事録
  • 賃金台帳

金庫やデスクの整理

書類だけでなく現物も調査の対象となります。

現金や預金通帳、受取手形、有価証券、棚卸資産なども整理して、調査官の要請に応じてすぐに対応できるようにしておくことが大事です。

税務調査官が確認を求める場所は、開示を拒否すると不審に思われてしまいます。

事務所内の場所は全て見せられるように、あらかじめ金庫やデスクを整理しておくと、より冷静に対応が可能になります。

社内での共有

税務調査が行われる日は、事前通知であらかじめ決められています。

そのため、社員には税務調査が行われることを前もって説明しておくことは大切です。

社員ごとのデスクや管理する書類も調査対象となり得ます。

社内を混乱させないためにも、会社全体で準備するように心がけましょう。

税務調査のシミュレーション

担当の調査官から聞かれる質問は、ある程度決まっています。

質問を想定してシミュレーションを行い、スムーズに受け答えできていることが大事です。

調査官が行う質問は、主に以下の事柄が想定されます。

  • 事業内容
  • 起業理由
  • 取引先
  • 取引銀行
  • 決済手段
  • 経費
  • 給与

税務に不安があれば税理士に相談を

今回ご紹介した内容を押さえることで、身構えることなく税務調査に対応することができます。

しかし担当税理士をつけていない場合、税務署から事前通知を受けてから実地調査までの間、通常の業務と並行して準備を進めるのは難しい場合もあるかもしれません。

税理士がいれば、事前通知の段階から税務署や調査官への対応を適切に行うことが可能です。

少しでも今後の税務調査に対する不安がある場合は、税理士に相談することが一番理想的と言えるでしょう。

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とは言っても、人間的にお互い会うかどうかは実際に話してみないとわかりません。まずは無料相談をご利用いただき、お眼鏡にかなうようでしたらご利用いただけますと幸いです。

まとめ

今回は、法人に対して行われる税務調査について解説しました。

申告において大事なことは、正直で正確な内容を記載することです。

日々の書類の管理をしっかりと行いましょう。

最後にポイントを振り返ります。

税務調査とは

「国が定めた納税の制度を守って、正しい税額が申告されているかどうかを調査すること」

税務調査に対して準備しておくべきこと
  • 会社に関する情報
  • 帳簿や資料
  • 金庫やデスクの整理
  • 社内での共有
  • 税務調査のシミュレーション
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