ホワイトナイトとは、敵対的買収から企業を防衛する施策のひとつ。

今回はホワイトナイトの具体的な施策や事例も合わせてわかりやすく解説します。

特に将来性がある株式会社は、敵対的買収の標的になりやすい傾向にあるため、防衛策についての正しい知識を身につけておくことが大切です。

ご興味のある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

ホワイトナイトとは？

ホワイトナイトとは、敵対的買収を仕掛けられた企業が友好的な関係にある企業に自社を買収してもらう方法。ホワイトナイトを行うと、合併や新株の引受によって友好的な会社の子会社になります。

ホワイトナイトとは、直訳すると白馬の騎士。友好的な買収者を救世主として白馬の騎士になぞらえて、ホワイトナイトと呼んでいます。

ホワイトナイトのメリットとデメリット

ホワイトナイトの買収防衛策としてのメリットは、他の敵対的買収の防衛策である「ポイズンピル」や「ゴールデンパラシュート」のように、あらかじめ導入しておく必要がないことです。買収を仕掛けられた後でも対応できます。

一方でホワイトナイトのデメリットは、自社を売却しなくてはいけないことです。買収者が友好的であっても、自社の売却には相当な覚悟が必要になります。

敵対的な企業に買収されるより、友好的な企業の傘下になる方がいい場合にホワイトナイトが使われます。

ホワイトナイトの具体的な施策

ホワイトナイトは実際にどのような手順で行われるのでしょうか？

ホワイトナイトは、友好的な第三者が対象企業の株式を取得し、会社の支配権を確立することで成立します。3種類のホワイトナイトの具体的な施策をご紹介します。

• カウンターTOB
• 第三者割当増資・新株予約権
• クラウンジュエル

カウンターTOB

多くの敵対的買収はTOBと呼ばれる株式公開買付の形で行われます。

TOBでは買収企業が不特定多数の株主に対して、被買収企業の株式の買付期間、価格、買取株数などを公告して株式の売却を勧誘します。

カウンターTOBとは、ホワイトナイトが敵対的買収者より高い価格でTOBをかける方法です。敵対的買収企業のTOBに対して、ホワイトナイトも同様にTOBで対抗します。ホワイトナイトは敵対的買収者よりも高い買取価格で、被買収企業の株式を買い取ることになるため、ホワイトナイトには敵対的買収企業と同等以上の資金力が必要になります。

第三者割当増資・新株予約権

新株を発行して、ホワイトナイトに対象会社の第三者割当増資や新株予約権を付与する方法です。敵対的買収者が議決権数の過半数（51パーセント）の株式を持つと、敵対的買収者が支配権を獲得してしまいます。

新株を発行してホワイトナイトに付与することで、敵対的買収者が保有している買収先の株式の保有比率を下げて、目標比率に届かないようにできます。

ただし、ホワイトナイトに新株を買い取るための十分な資金が必要です。

クラウンジュエル

クラウンジュエルは、直訳すると「王冠の宝石」。敵対的買収への防衛策のひとつです。

被買収企業が保有している資産や子会社、収益性が高く戦略的価値のある事業部門をホワイトナイトに売却します。被買収企業にとって価値の高いもの（王冠の宝石）の売却によって、被買収企業の企業価値が減退し、敵対的買収者の意欲を削ぐことが目的です。

その他の敵対的買収の防衛策について知りたい方はこちらもご覧ください。

ホワイトナイトの事例

ホワイトナイトが実際に行われた事例をご紹介します。

ドン・キホーテによるオリジン東秀への敵対的TOB

2005年、オリジン東秀がドン・キホーテによる業務提携の提案を拒絶したことから、ドン・キホーテはオリジン東秀に対する敵対的買収を開始しました。オリジン東秀は、イオンにホワイトナイトを引き受けてもらうように要請。イオンはドン・キホーテに対して、カウンターTOBを仕掛けました。イオンが勝利し、ドン・キホーテは買収を断念しました。

おわりに：敵対的買収の最適な回避策をお探しの方は専門家サポートも検討を

今回は敵対的買収の防衛策のひとつであるホワイトナイトについて解説しました。

将来性がある株式会社は、敵対的買収の標的になりやすい傾向にあるため、M&Aや敵対的買収の防衛策について正しい知識を身につけておくことが大切です。

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