「記帳代行の依頼を考えているけど、どこに頼めばいいかわからない」
「金銭的な余裕もないけど、自分でやった時のデメリットが知りたい」
本記事では、記帳代行の依頼先から内容、費用相場、依頼するメリット・デメリットなど実用的な情報を紹介します。
また、実際に依頼を検討する際に確認しておきたい3つの注意ポイントについても解説しますので、記帳代行を検討中の方はぜひご覧ください。
記帳代行とは、帳簿付けを代わりに行ってくれるサービス
記帳代行とは、帳簿作成業務を代行するサービスのことです。本来、事業者は自分で帳簿付けを行い領収書の保管や会計ソフトへ入力する必要があります。
しかし、社内に経理担当がいない、恒常業務が忙しく帳簿に手が回らないなどの問題からアウトソーシング化する企業が多いのが現状です。
記帳業務は2014年から義務化した
記帳業務は2014年に義務化になっています。以前の法律では、事業所得などが300万円を超えない白色申告の場合、帳簿の記帳が不要でした。
しかし、現在では金額、方式問わず帳簿の記載・保存が義務付けられています。具体的には、それぞれ以下の期間の保存が必要です。
種類 | 詳細 | 期間 |
帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 |
決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金取引等関係書類 | 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年(前々年分の事業所得及び不動産所得の金額が300万円以下の方は、5年) |
その他の書類 | 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) | 5年 |
※上記は青色申告の場合ですが、白色申告の場合も帳簿が5〜7年、書類は5年の保存義務があります。ご注意ください
義務化の影響で、現在多くの法人・個人事業主の方が記帳代行を利用しています。次の項目で、具体的な代行先の種類とサービス内容を見ていきましょう。
記帳代行の依頼先・サービスの種類
記帳代行を依頼する場合は、主に「税理士事務所」か「記帳代行業者」に依頼することになります。
税理士事務所
税理士事務所に依頼する場合は、記帳代行〜決算申告書の代行まで広い範囲の依頼ができます。料金は税理士事務所によってさまざまで、パック料金のところからオプションでサービスごと料金を加算するところなど多岐にわたります。
記帳代行を行う人が、税理士資格を持っているため信頼性が高いことも特徴です。一般的には継続した顧問契約を結ぶことが多く、税務上のアドバイスや経営のアドバイスをしてくれる税理士事務所もあります。
記帳代行業者
記帳代行業者は、アシスタントサービスとも呼ばれる業者です。税理士の資格を持たない人も対応するケースがあり、業者により品質にばらつきがあります。
税理士事務所よりリーズナブルな価格設定であることが多く、月単位での契約が可能などスポット的に利用する方も多いです。
注意点としては、代行業者内に税理士が在籍していない場合、決算申告書の代行ができない点です。確定申告などの代行業務も依頼したい場合は必ず税理士が在籍している業者を選びましょう、
記帳代行の費用相場は「6,000〜40,000円/月」
記帳代行の費用相場は一般的には以下の通りです。
依頼先 | 費用相場 |
税理士事務所 | 30,000円/月(法人の場合40,000円/月) |
記帳代行業者 | 6,000〜20,000円/月 |
ただし、事務所・業者ごとに料金体系は異なります。また、サービス内容も異なりますので、必ず無料相談などで比較、検討を行ったうえで総合的に判断しましょう。
記帳代行を依頼する3つのメリット
記帳代行を依頼するメリットは以下の3つです。
- 記帳による手間や時間を削減できる
- 確実な記帳で、安心して事業を継続できる
- 税務調査時にも対応してもらえる(税理士に依頼した場合)
1.記帳による手間や時間を削減できる
記帳代行を行う最大のメリットは、社内のリソースを割かずに記帳できることです。経理の人材を社内で雇うよりも安く済むケースが多く、結果として経費の削減にも繋がります。
本業に集中できるため、事業の拡大や安定にも繋がり、最短で成果に繋げられるのも大きなメリットです。よほど社内にリソースの余裕がない限りは、記帳代行の依頼をおすすめします。
2.確実な記帳で、安心して事業を継続できる
税理士などの専門家に記帳を依頼すれば、ミスのない記帳を行ってもらえます。自社で行う場合や、知識のない状態で記帳をしてしまうと、ミスがあり後々問題になるケースもあるため注意が必要です。
特に確定申告時に帳簿と通帳の金額が合わないなど問題が生じた場合、多くの時間と労力が必要になります。
最悪の場合、税務調査が入り重加算税などのペナルティが発生する場合もあるため、確実な記帳は重要です。記帳代行で依頼すれば、帳簿に関する心理的なストレスなく、安心して業務を継続できます。
3.税務調査時にも対応してもらえる(税理士に依頼した場合)
税理士に依頼した場合、税務調査時にも立ち会い、対応してもらえる場合が多いです。税務調査は返答を間違えてしまうと、不利益になるケースが多々あります。
例えば、不明確なことを言い切り、事実と異なっていた場合、重加算税や調査期間の延長などペナルティを受けることもあります。
不用意な発言で損をしないためにも、税理士に記帳代行を頼むことをおすすめします。また、普段から記帳代行を頼んでいる税理士であれば、内部事情も把握しているため税務調査で適切な対応をしてもらえる可能性が高いです。
税務調査立ち会いの料金については税理士事務所ごと異なりますので、事前にご確認ください。
記帳代行を依頼する3つのデメリット
記帳代行を依頼した場合、デメリットもあります。
- 依頼のコストが発生する
- 業績の確認に時間がかかる
- 最新の会計情報を得られず、人材が育たない
1.依頼のコストが発生する
金銭的なコストが発生することもデメリットです。ただし、税額上のペナルティが発生してしまった場合や、社内での人件費を考えると割安で済む場合もあります。
依頼料は額面上だけでなく、起こり得るリスクなどを総合的に判断し、依頼するかを検討しましょう。
2.業績の確認に時間がかかる
記帳代行を依頼すると、領収書や売上管理表、請求書などの書類を渡す必要があります。帳簿付けはリアルタイムでは行われないため、確認できるようになるまでに時間がかかることもデメリットの一つです。
特に新事業や既存事業の変更によるABテストなど、すぐに業績の情報が欲しい場合は、提出書類のコピーを取るなど手間が発生します。
会社が小規模で、スムーズな業績の確認が重要な場合は記帳代行に向いていないこともありますのでご注意ください。
3.最新の会計情報を得られず、人材が育たない
最新の会計情報が得られない点もデメリットの一つです。自社で記帳を行えば、手間がかかる代わりに、最新の法律や新制度などのノウハウが手に入ります。
記帳代行を丸投げしてしまうと、確実な記帳は行なってもらえますが、社内にノウハウが蓄積されません。会計業務についてわからないまま事業を継続すると、損をし続ける場合もあります。
業者によっては経営のアドバイスとともに、会計についての制度や申告方法の相談に乗ってくれる所もあります。社内のリソースに余裕がある場合は、記帳代行先に依頼し、記帳方法や制度について教えてもらうのも一つの手です。
記帳代行を依頼する際に注意したい3つのポイント
記帳代行を依頼する際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 依頼する時期が会社にとって適切か
- 税理士が在籍しているか
- 価格が適切か
1.依頼する時期が会社にとって適切か
まず、会社にとって、記帳代行を依頼する時期が適切かを確認しましょう。
依頼に適したタイミングは、経営者自身が記帳を行っており、本業の時間が奪われている時です。取引数が少ない状態や、社内で記帳業務を行える人材がいる場合など、状況によっては記帳代行を依頼するメリットがない場合もあります。
依頼することで時間と労力がどれだけ浮き、その分本業で何ができるかをシミュレーションしてから依頼を検討しましょう。
2.税理士が在籍しているか
税理士事務所以外の代行業者を選ぶ際は、税理士が在籍しているかを確認しましょう。税務申告は基本的に、税理士以外が行うと違法になります。
業者の中には税理士が在籍していないにもかかわらず、税務申告代行を謳っている業者もあり、トラブルにつながります。
記帳内容の見直しや修正申告が必要になる場合もあり、余計な手間がかかる可能性も高いです。税理士事務所以外に記帳代行を依頼する場合は、税理士が在籍しているかを必ず確認しましょう。
3.価格が適切か
依頼先の価格が適切かの確認も重要です。また、記帳代行サービスはオプション追加などのサービスもあり、ホームページ上の金額よりも高くなるケースが多々あります。
最終的な料金を確認したうえで契約するだけでなく、その金額内でどこまでのサービスを実施してくれるのか、具体的に確認したうえで契約しましょう。
記帳代行の金額が高く、依頼できない場合は自社で会計ソフトを導入するのも一つの手です。税理士事務所によっては、会計ソフトの使用方法を教えてくれる所もあります。
記帳業務や代行先でお困りの方はアウル税理士法人へ
アウル税理士法人では、会計顧問にて記帳代行を受け付けております。自社の業務が忙しく、会計業務になかなか着手できずお困りの方はぜひご相談ください。
また、会計支援の一環として会計ソフトの導入や自動化のアドバイスについても説明させていただき、コストを浮かせるための具体的な方法もお伝えいたします。
多くの会社様にご利用いただき、モデルケースも多数所持しておりますので、業務上でお困りのことがございましたらお気軽にお申し付けください。
まずは無料相談にてご相談いただけますと幸いです。
まとめ
記帳業務は2014年に義務化されたため、業務を圧迫する機会も増えてきました。社内に経理担当がいない場合や、恒常業務が忙しい場合など、自社で行うには難しい場合もあります。
記帳代行は「税理士事務所」または「記帳代行業者」に依頼でき、税理士が在籍している場合は確定申告業務など広い範囲を任せられます。
金銭的なコストはかかりますが、その分社内リソースの確保や安全性の確保、税務調査時も立ち会ってもらえるなど多くのメリットがあります。
ただし、業績の確認に時間がかかる、社内の人材育成には繋がらないことなどデメリットもありますので、総合的な判断が必要です。
代行業者に依頼する場合は、税理士の有無と価格について必ず確認しましょう。税理士事務所に依頼する場合も、価格プランが事務所ごと異なりますので無料相談でのご確認をおすすめします。
アウル税理士法人
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