近年、会社の規模を問わず大企業から個人までM&Aが頻繁に行われるようになってきました。今回は、身近なものになってきたM&Aがどんな目的で行われているのかを詳しく解説します。
「M&Aの知識を身につけたい」
「将来M&Aを考えている」
という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
「そもそも、M&Aとは?」とM&Aについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
M&Aの目的とは?
後継者問題を解決するための事業承継、新規事業への参入、事業規模の拡大など、様々な目的を持ってM&Aが行われます。
近年では企業だけでなく、個人・サラリーマンが人生戦略を目的にM&Aを行うこともあります。老後2000万円問題など、定年後に必要な資金が増えたため、個人の資産運用を目的としてとしてM&Aが行われる場合もあります。
M&Aの目的は、売り手企業と、買い手企業で異なるため、それぞれの代表的な目的をご紹介します。
買い手企業のM&Aの目的
買い手企業には以下のようなM&Aを行う目的があります。
- 新規事業への参入
- 既存事業の強化
- 事業規模の拡大
それぞれについて詳しく解説していきます。
新規事業への参入を目的としたM&A
新規事業への参入を目的としたM&Aでは、買い手企業に大きなメリットがあります。
技術やノウハウ、人材や顧客、営業販路などを受け継ぐことで、事業をすぐに軌道に乗せられる可能性が高くなります。そのため、1から新規事業を立ち上げるよりも、M&Aで会社や事業を譲り受けた方がリスクやコストの大幅な軽減を見込むことができます。
新しい市場やビジネス環境で事業を育成する時間を短縮できるため、新しいビジネスチャンスを素早く獲得するために、M&Aは非常に合理的な方法といえるでしょう。
既存事業の強化を目的としたM&A
既存事業の強化を目的にM&Aを行うこともあります。
M&Aを行うことで、自社の弱みを補い、強みを最大化するような相乗効果(シナジー効果)が見込める会社を譲り受けることで、既存事業の強化につながります。自社に不足している新しい技術、人材、顧客などを得ることが見込めます。
迅速に弱みを補うことができるため、成長戦略の一つとしてM&Aが行われることも多いです。
事業規模の拡大(スケールメリット)を目的としたM&A
事業規模の拡大(スケールメリット)を目的にM&Aを行うこともあります。
売り手企業の従業員や資産などを譲り受けることで、会社の規模の拡大を図ることができます。一般的に会社規模が大きくなると、ブランド力や認知度が上がり、交渉力が強化されるため、事業規模の拡大を見込めます。事業規模が拡大することで、大量仕入れによる仕入れコストの引き下げや、知名度向上による広告費の削減や採用力の強化など、様々なメリットを得ることができます。
競争力の高い市場で勝ち残るために、事業規模の拡大を目的としたM&Aは有効な手段といえるでしょう。
売り手企業のM&Aの目的
一方、売り手企業にも以下のようなM&Aを行う目的があります。
- 事業承継などの後継者問題の解決
- 従業員やノウハウの承継
- 事業の整理
それぞれについて詳しく解説していきます。
事業承継などの後継者問題の解決
日本企業の約65%が後継者不在という社会的な問題により、事業承継を目的としたM&Aは近年増えています。少子高齢化や経営を継ぐ意思のある人材がいないことなどが後継者問題の原因です。
M&Aを行い、第三者に会社や事業を承継することで後継者問題を解決することができます。従業員も買い手企業に引き継いでもらうことで、雇用も継続できます。さらにオーナーにとっても、創業者利益を得てリタイアできるなどのメリットがあります。
従業員やノウハウの承継
従業員やノウハウの承継を目的にM&Aを行うこともあります。
後継者問題などで廃業した場合、従業員は職を失ってしまいます。しかし、M&Aを行えば、買い手企業は従業員を含めて譲り受ける事を検討するため、多くの場合、従業員の雇用が守られます。また、これまで売り手企業が培ってきたノウハウや技術を残すこともできます。
事業の整理
M&Aでは、会社の一部の事業だけを譲渡することもできます。
幅広く事業を展開していると、業績が伸び悩んだり、経営資源がうまく分配できない場合があります。利益が出にくい事業を売却し、利益が出る事業に資源を集中させることを目的として、事業譲渡や会社分割などのM&Aの手法が活用されています。
M&Aを行う上での注意点
様々なメリットを見込めるM&Aですが、実はM&Aの失敗確率は75%ほどもあるといわれています。
例えば、M&Aにより優秀な従業員が離職してしまい、事業の失敗に繋がってしまうことがあります。従業員の離職を避けるためには、従業員に対するアフターケアが大切です。事前に待遇を話し合ったり、将来のビジョンを明確化させたりしましょう。
また、既存事業の強化を目的として、経験や実績を積んでいる企業を買収しても、想定どおりの相乗効果(シナジー効果)が生まれず、苦戦することも考えられます。
M&Aの成功率を上げるためには、様々な側面からM&Aを検討することが大切です。公認会計士や税理士などの専門家の力を借りるのもおすすめです。
おわりに:最適なM&Aを行うためには専門家サポートも検討を
今回は、M&Aの目的について解説しました。
M&Aのメリットに魅力を感じていても、実際にM&Aを行うとなると、「何から始めたらいいのだろう」と、立ち止まってしまう経営者の方々も少なくありません。
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