「利益という資産の作り方」(利益づくり)の話 第3回


「利益という資産」…職業会計人としてあるまじき、奇妙な表現です。その理由は、第1回で述べたとおりです。今回は、前回、説明し残した利益の第三の役割についてです。

利益には3 つの役割がある。
第一に、利益は事業活動の有効性と健全性を測定する。
第二に、利益は陳腐化、更新、リスク、不確実性をカバーする。
第三に、利益は、(中略)事業のイノベーションと拡大に必要な資金の調達を確実にする。
『現代の経営』

「すべてのものは古くなる」―ドラッカー教授の言葉です。

健全性、有効性というメジャーが必要なのは、事業や製品やサービスが、どうしようもなく古くならないうちに廃棄するためのセンサーとなるからです。

今、営んでいる事業のライフサイクルは、どのあたりですか。

ライフサイクルは、一般的に

と表現されます。ライフサイクルは、近年、短くなる傾向があります。

導入期には導入期に相応しい「事業活動」の在り方、やり方があります。そして当然、それぞれの期ごとに異なる「事業活動」が求められます。

「利益」は、そのセンサーとして重要な役割を担っています。ここに有効性とは、市場におけるリーダーシップをもっていることを意味します。顧客からの強い支持力があることを意味する言葉です。しかし利益は、過去の有効性を示すだけです。今から未来において有効性に問題はないかを判定することが重要です。それはあくまでも定性的な評価であり、利益がそのまま有効性を意味するものではありません。

次に「健全性」です。健全性とは、資源配分の健全性をいいます。たとえば、成熟期に成長期にどんどん広告費をかけるような不健全なことをしていないか。また成長期に優秀な人材を投入しないという不健全なことになっていないかを判別します。これも最終的には、定性評価です。

「利益」は、粗利情報などの形で有効性と健全性に関して基礎情報を提供します。この際、重要なのは、前回説明した「区分」です。事業ごとに区分されているか。日常行っている会計は、この区分にしたがってないことも多いことは前回説明しました。

決算書などが求めるものが、株主や債権者など外部報告用になっているからです。売上高の区分を適切に行わなければ、「事業活動」が古い活動に投下されているかどうか判別できないことを意味します。

マネジメント会計のイロハは、適切に事業区分することから始まります。
それは、単に部門別計算を行うこととも異なります。この点については、前回の説明を読んでください。

ドラッカー教授は、会計における差額概念である「利益」に3つの役割を与えました。この3つの役割の理解は、マネジメント会計における重要なポイントになります。

【参考】
『実践するドラッカー[利益とは何か]』第5章

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