インボイス制度の導入が迫っていますが、私は適用するべきでしょうか?
結論、取引先によります。取引先が一般消費者や免税事業者であれば不要であるパターンが多いですし、大きい事業者である場合は、適格請求書(インボイス)の発行が求められるでしょう。
そこで今回は、インボイス制度とは関係のない業種やパターンを解説していきます。インボイスが必要か、そうでないかを判断するためにも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
インボイス制度とは関係のない業種・パターン
インボイス制度とは関係のない業種やパターンは次の3つが挙げられます。それぞれ解説します。
- お客さんが事業者ではないサービス
- オンリーワンの技術をもつ人
- 取引先が免税事業者・簡易課税事業者
お客さんが事業者ではないサービス
一般の消費者を売上の取引先として事業を行っている場合は、適格請求書発行事業者になる必要はないといえます。下に挙げた例のように、個人が私的に利用するサービスの場合は経費として計上されないため、インボイスを適用しなくても問題ありません。
- ネイルサロン
- エステサロン
- 美容院
- 理髪店
- 学習塾
- 音楽教室
- 居住用住宅の賃貸オーナー
- 八百屋
オンリーワンの技術をもつ人
極めて高い技術力をもち、取引先にとって替えが効かない存在となっている場合は、インボイスを心配する必要はありません。相手からすれば、取引を続けることが最優先となるため、仕入税額控除やインボイスは二の次なのです。
このような方がインボイスを適用しなかったからといって、取引が打ち切られたり、値引きを求められたりすることはないでしょう。
- 技術職人・・・日本中でこの人にしかできないという技術を持っている
- イラストレーター・・・この人にしかできないデザインがある
取引先が免税事業者・簡易課税事業者
売上の取引先が課税事業者でない(=免税事業者)の場合は、インボイス制度とは関係がありません。適格請求書による仕入れであっても、従来の請求書や領収書による仕入れであっても、取引先に消費税の納付義務がない以上、こちらに適格請求書の発行を求めることはありません。
取引先が簡易課税事業者である場合、相手からすれば、売上で受け取った消費税さえわかればOKということになります。こちらから提出する請求書がインボイスでも簡易請求書でも問題ありません。
簡易課税は原則2年前の課税売上が5000万円以下の場合にのみ適用可能です。
インボイス制度を適用した方が良い場合
インボイス制度を適用した方が良いパターンは以下の2つがあります。
- 取引先の年間売上規模が5000万円超
- 取引先が一般消費者と課税事業者のどちらも存在する場合
取引先の年間売上規模が5000万円超
年間売上1000万円を超えるような事業規模の大きい取引先の場合、適格請求書(インボイス)が必要な本則課税で消費税を申告している可能性があります。特に年間売上5000万円を超えるような事業者は原則として簡易課税制度が受けられず、強制的に原則課税になるため、仕入税額控除を受けるべく、取引先に適格請求書の提出を求めることが多いです。
副業の場合でも、ライターやデザイナー、エンジニアのようなBtoBの業種は注意が必要です。取引先の事業規模が大きいことが多いため、適格請求書の提出が求められることもあると考えておいた方が良いでしょう。
取引先が一般消費者と課税事業者のどちらも存在する場合
取引先が個人消費者や免税事業者のみである場合は、インボイスを適用する必要はありません。しかし、もし取引先の中に課税事業者がいる場合は、インボイスの検討が必要です。
例えば、ネイルサロンが個人の爪の手入れを行いつつも、独自ブランドの美容液等を、課税事業者に販売していた場合です。この場合は、ネイルサロンを営む事業者がインボイスを適用し、適格請求書発行事業者となる方が、課税事業者である取引先に負担をかけずに済みます。
しかし、適格請求書発行事業者となるには、課税事業者になる必要があり、消費税の負担を強いられることになります。美容商品の取引先との兼ね合いで、インボイスを適用するかどうかは慎重に検討をする必要があります。
まとめ
今回は、インボイス制度とは関係のない業種やパターンを解説しました。ここまで確認したように、インボイス制度は、あなたや取引先の納税額に大きな影響を及ぼします。
以下のような業種は「インボイスとは関係ない」と言えるものの、今後制度が変わると該当してくる可能性は十分にあり得ます。最低限の知識を身につけ、対策を進めていきましょう。
- お客さんが事業者ではないサービス
- オンリーワンの技術をもつ人
- 取引先が免税事業者・簡易課税者
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- インボイス制度を採用しなかった場合の事業への影響の確認
- インボイス制度を採用した際の消費の納付税額シミュレーション
- 2種類の計算方法による消費税の納付税額増減シミュレーション
なお、この対策は、事業の種類や状況により千差万別となりますので、顧問先様のみの対応となります。
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