あなたの会社は「専門化」できていますか?真の多角化とは強みを生かした事業への集中【失敗しない経営者思考】

あなたの会社は「専門化」できていますか?真の多角化とは強みを生かした事業への集中【失敗しない経営者思考】

こんにちは。アウル税理士法人の代表社員税理士・佐藤 等(さとう ひとし)です。

みなさんは、経営資源を有効活用できていますか? 資源を有効活用するには、自社の強みを活かすことのできる分野に集中しなければなりません。

多角化経営をしている方の中には、しばしば「わたしの会社は単一事業体です」とおっしゃる方もいらっしゃいます。しかしそれは、有効な事業区分が出来ていないだけである可能性があります。

真の多角化とは、経営資源を有効活用するために強みが生きる分野に集中することなのです。多角化と集中――相反する矛盾した命題のようにも思えますが、マネジメントの父であるドラッカーは、次のように言います。

あらゆる企業が専門化しなければならない。あらゆる企業が、その専門化から可能なかぎり多くの成果を得なければならない。そのような意味での多角化をしなければならない。この専門化と多角化のバランスが、事業の範囲を規定する

『創造する経営者』

当記事は、主に経営でお悩みの方に向けた内容となっています。少しでもお役立ちできるヒントを提供するという目的で、アウル税理士法人の代表・佐藤が著した書籍を底本にわかりやすく解説しています。
マネジメントの父・ドラッカーを知らない方でも楽しめる内容となっていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

ABOUT ーこの記事を書いた人ー

さとう ひとし
佐藤 等

佐藤等公認会計士事務所所長、アウル税理士法人の代表社員。公認会計士・税理士、ドラッカー学会理事。1961年函館生まれ。主催するナレッジプラザの研究会としてドラッカーの「読書会」を全国で開催中。著作に『実践するドラッカー [事業編]』(ダイヤモンド社)をはじめとする実践するドラッカーシリーズがある。

効率の悪い営業で社員を疲弊させていた米菓製造会社が真の多角化を実現した事例

効率の悪い営業で社員を疲弊させていた米菓製造会社が真の多角化を実現した事例

埼玉県春日部市に本店を置く1947年創業の三洲製菓は、お煎餅をはじめとした様々な米菓を製造販売する老舗メーカーです。二代目として社長に就任した斉之平 伸一(さいのひら しんいち)社長は、赤字と黒字を行きつ戻りつする当時(1970年代後半)の経営体質を改善するべく、改革に乗り出そうとしました。

はじめは、社員のモチベーションを上げるために褒賞制度を導入するなど営業力を強化しようと工夫を凝らしたそうです。しかし、思うような成果はでませんでした。むしろ社員は長時間労働で疲弊してゆくばかり……。

当時の三洲製菓の様子をもしもドラッカーが目の当たりにしたら、きっとこう警告することでしょう。

構造的な問題を前にして対処療法を試してはならない

『P・F・ドラッカー 理想企業を求めて』

では斉之平社長は、どのような意思決定を行えば、三洲製菓の経営体質を改善へと導くことができるのでしょうか。それは、強みが生きる分野への集中です。

本当に見直すべき部分が他にあるはずだーー社会人時代からドラッカーを愛読していた斉之平社長は、いよいよ自社の構造的な問題に切り込み、分析を行っていきます。

すると、実は三洲製菓は、大手数社が高いシェアを持つ量販店で効率の悪い営業をしていることが判明しました。そこで斉之平社長は、思い切って量販店向けの営業を廃棄することを決断。目を向けたのは、和菓子専門店に直接売り込む営業でした。

社員の離職が相次ぐなど、痛みを伴う改革ではありましたが、10年ほどかけながら販売先の切り替えに成功。せんべいやあられをOEM生産する米菓製造企業として専門化を成し遂げたのです。こうして事業転換――強みを活かす分野への集中――が実現すると、順調に売上が伸びていきました。

会計上の事業区分に目を奪われるな

会計上の事業区分に目を奪われるな

三洲製菓は、大手メーカーがひしめく勝ち目の薄い量販店向けの営業を廃棄し、和菓子専門店というニッチな市場でトップを狙う戦略に切り替えることで、利益をグンと伸ばすことができました。

ニッチな市場で1位か2位をとれる事業に集中するためには、まずは自社の事業を取捨選択できるレベルにまで区分しなければなりません。さもなければ、売上が伸びない陳腐化した事業と伸びしろのある事業とを同じ区分に含めて見てしまう危険性があります。

多くの経営者は、会計上における事業区分に思考がとらわれてしまいがちです。しかしその視点だけだと、顧客から支持がある事業や自社の強みを生かせる事業を見出すことは至難の業です。

そこで以下に、ニッチな市場で1位2位を狙えるようになるための3つの質問をみなさんに投げかけますので、ぜひお役立てください。

  • Q1. 自社の事業を複数の切り口(製品・サービス・市場・顧客・流通など)で3~8つに区分するとどうなりますか?
  • Q2. それらの区分は、それぞれどのような粗利益の構成比になっていますか?
  • Q3. それらの区分は、それぞれ5年後にはどれくらいの粗利益の構成比になっていると思いますか?

おわりに

会計上の区分にとらわれることなく、様々な視点から事業を区分してみると、思いもよらぬところに自社の強みがあることがわかったり、これまで会計に計上してこなかった無償サービスが新たな成長部門となったりすることがあります。

真の多角化を実現するためにも、今一度事業を見つめ直してみてください。

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