-知恵の神フクロウとともに道を繋ぐ-アウル税理士法人のこれから

2021年1月4日、開業から30年を迎えた佐藤等公認会計士事務所(佐藤等税理士事務所)と、医業や運送業のサポートを得意とする鈴木康弘税理士事務所の二つの事務所が一緒になって「アウル税理士法人」が設立された。今回は、法人化のきっかけ、命名の経緯、将来などについて二人の代表に話を聞いた。

対談者プロフィール

佐藤等
1961年生まれ、函館市出身。1990年に公認会計士登録をし、同年に「佐藤等公認会計士事務所」を開業。1997年に税理士登録。ドラッカー学会の理事も務め、2020年にはマネジメントの目線からスタートする会計「マネジメント会計®」を商標登録。
 
鈴木康弘
1976年生まれ、旭川市出身。信用金庫での勤務を経て、2008年に税理士登録、2009年に「鈴木康弘税理士事務所」を開業。開業と同時期に「法務会計プラザ パートナーズ会」に入会。旭川と札幌にお客様を多く持ち、顧問先企業の永続的発展を掲げ事務所運営をしてきた。
 

―はじめに法人化を考えた理由を教えてください?

鈴木:
個人事務所としてだと永続的にお客様を支え続けるというのは難しいので、開業当時からいつかは法人化したいという思いがありました。法人化をして事業計画などを含め総合的に経営のサポートをし、健全な会社経営の指導と永続的なお客様の発展をしていきたいという思いがありました。
佐藤:
鈴木さんと同じく、事務所の永続性が最大の理由です。私の事務所では12年ごとにビジョンを決めており、今のビジョンを決定したとき(※2017年)にお客様の永続性を高める前提として事務所の永続性を高めるために「外部の税理士との連携を」という話が議論され、そのあたりから法人化を具体的に考えるようになりました。大体ビジョン決定には3年ほどかけていますので、2014年頃から法人化の議論があったことになります。つまり7年ほど前から思いはあったということになります。その結果、2017年にスタートした新ビジョンの中には法人化の計画は織り込まれていました。

―おふたりで法人化することになったきっかけは?

佐藤:
2018年の年末に、法務会計プラザパートナーズ会でご一緒している高塚伸志さんからほろ酔い加減の電話が来て(笑)、 そのとき隣に鈴木さんがいたようで、新年にご挨拶をしたいという連絡がありました。その時は法人化のお話というより、仕事の連携をして高めていきませんかという内容でしたが、新年早々久しぶりにお会いして、その際に高塚さんから「法人化したら?」と言われて、「それもそうだね」と。実は、高塚さんには誰かパートナーとして相応しい方はいないかとなんとなく投げかけていたので、そのような言葉が出たと思います。振り返って見れば、2017年から始まったビジョンで明確にしていたからともいえます。
鈴木:
年末に高塚さんへ「いろいろな税理士の先生の力をお借りしたい」ということを言うと、「それだったら佐藤さんのところに挨拶に行こう」と。それでお伺いしました。私は何回か他の方から法人化のお誘いを受けたことがあったんですけれど、違和感というか、考えていることが違う気がして、法人化に踏み切ろうとしたことは一度もなくて。ただ佐藤先生との法人化のお話が出てきて、何の違和感もなく2019年の1月から事務の統合を前提に2年、ここまで進んできたので、なるべくしてなったんだと思っています。やっぱり税理士業をする思いや方向性が同じだったのかなぁと。

―お互いのどこに惹かれた?

鈴木:
まず正直なところ直感というか。佐藤さんは人柄も含め、本当に信用できる方だと思いました。会計税務を中心にして、本当に世の中に貢献したいと思っているのを感じて、そこが間違いないと思ったのが一番のきっかけです。そして私も経営に興味があって、ドラッカーの考えを通じたマネジメントについては佐藤さんが日本でトップの先生だと思っていたので、その方が僕と税理士法人をしていただけることがとても嬉しいです。
佐藤:
初めて話しますが(笑)、私には明解な理由があります。専門職である税理士が組織のマネジメントをできるかと言えば、私を含めてむしろ不得意なのではないかとさえ個人的には思っています。私の事務所にも税理士はいますが、彼らもこれから成長する中でパートナーになる可能性はおおいにあると思いますが、マネジメントを身につける時間がもう少し必要だと感じています。この点、鈴木さんは自身で経営されています。そして一番は意思決定が速いんです。これが魅力です。なかなかありそうでない強みです。その決断が合っているか間違っているかというよりも、決断力が経営者としての魅力です。その点が私の一番のポイントでした。
鈴木:
大変恐縮です。たしかに勤務医など勤務されている方には専門家が多く、開業医は経営のセンスも問われるということがあります。僕は経営向きなのかなというのは自分なりに思っておりまして、本当によく見ているんだなあと。

―「アウル税理士法人」と命名した経緯は?

佐藤:
鈴木さんがつけたんです。
鈴木:
大なかなか決まらなくて考えていた時に、ひきだしを開けると佐藤さんから2010年に頂いたふくろうのはがき絵が入っていまして、あ、これだと。
(写真:はがき絵のふくろう)
[実際に鈴木のひきだしに入っていた佐藤が描いたフクロウのはがき絵。法務会計プラザのパートナーズ会(※各業界の専門家が集まり、情報を交換・共有し発展していくことを目的とした会)で名刺交換をしたことがきっかけで送っていただいたもの。]
佐藤:
法人名については、2020年の6月くらいからどんな名前がいいかお互いの事務所の職員に募集をし、30を超える応募の中から何回か会議を重ねて「マネジメント会計」「アドバイスリンク」「ともに経営」の3つに絞られました。だけどこの3つでは、方向性ははっきりするけれど逆に一つの方向に絞られすぎてしまう気もして、悩んでいました。そんなときに鈴木さんから「アウル(※Owl:フクロウの英名)はどうでしょうか」という話があって。たまたま私がフクロウの置物を集めていたこともあり、まあ過去形にほぼ近いんだけども。(笑) それもあって、うちのスタッフもそれがいいじゃないかと。それからそのはがき絵、私が描いたということもあってほぼ全員の総意で決まった形です。時間をかけて本当に良かったと思います。
鈴木:
悩んでいた間は、「いっそ『佐藤鈴木総合税理士事務所』はどうか」という案もありました。ですが、名前にするとどうしても個人の主張が強すぎてですね。法人化には、未来にも残していける組織をつくりたいというニュアンスもありましたから、うーん…と。アウルは固有名詞ですけれど個人に属していなくて縁起もいいですし。

―アウル税理士法人になってこれからしたいことは?

鈴木:
私は20年間会計税務の実務をずっとやっていて、税理士を目指したきっかけも経営者の役に立ちたいというのが一番の強い思いだったので、法人化によって基礎が今終わった段階かなといった思いです。特に最初からやりたかった事業計画、組織再編といったところも集中して取り組んでいって、お客様の企業の成長スピードをあげていきたいと思っています。そしてドラッカーについては佐藤さんが第一人者ですので、経営についても実践できるようにいろいろ勉強させていただきながら、実践していきたいなと思います。今は次のステップがきたなと楽しみにしているところです。
佐藤:
法務会計プラザの中で培ってきた「法務会計」という領域―事業再生や相続・不動産に関わる業務―そういったものも法人化して次の世代へ引き継いでいければいいなぁと思っています。事務所の理念にもある「ともに学び成長する」。これは、個人で学んだことが参加者の企業や組織に返っていって会計事務所とともによくなっていくという意味があります。鈴木さんの周りには若手の経営者がたくさんいると思うし、旭川にも顧問先があるので、そういったことをお伝えする機会、たとえば「経営塾Next21旭川」など、が増えるのではないかという期待を強く持っています。個人的にしたいことは、「マネジメント会計」というものを多くの職業会計人に広めたいという思いがあるので、そのプログラムを仕上げることです。そしてアウル税理士法人をマネジメント会計のトップ法人に仕上げて、ここをモデルにするといいんだよというのを示し、他の事務所にも使ってもらえればと。そのスタートが切れればいいなと思っています。

―これからに向けて、お客様へのメッセージを一言お願いします。

鈴木:
開業以来11年間、お客様が健全に発展・繁栄し続けることができるよう税理士事務所として税務・会計・資金繰りを中心としたサービスを提供させていただきました。また、法人化に至るまで一人の退職者もなく終われたことを大変うれしく思っております。難しい経済情勢で御座いますがこれからはアウル税理士法人として総力を結集し、さらに学びを深めて真にお客様に貢献できるよう不退転の決意で取り組んでまいりますので、今後とも末永くよろしくお願い致します。
佐藤:
大変ありがたいことに開業以来30年間、顧問契約を頂いているお客様をはじめとして、長い間、多くのお客様と長くともに成長させて頂いております(平均顧問契約期間9.5年)。今後もともに学び成長しながら、激変する時代の兆しをとらえ、事業に生かした経営を一緒に歩んでいきたいと考えております。引き続き、ご愛顧をよろしくお願い申し上げます。

インタビューを終えて

法人化まであと1年と迫った2020年の間に、世の中の状況は大きく変化しました。廃業や撤退が相次ぎ、続けることは容易いことではないと実感する中、お二人が法人化にこめた「永続」という言葉がぐっと重みを増したように感じました。法人化という大きな転機とともに、私もこれまで以上に気を引き締めて臨みたいと意を新たにしました。
津島麻璃
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